すれちがい
ナナシリア
すれちがい
君は常に、俺のずっと前を歩いていた。
俺が君に勝っていることはなく、だからこそ君を好きだと思ったのかもしれない。
そもそもこの感情が恋なのか、もしくはただの憧れだったのか、それとも親愛だったのか。それすらわからない。
英語科の授業。最近新しく生まれた強化だからなのかはわからないが、ペアワークやインターネットの活用など比較的近代的な教育を施される。
俺のペアは、雫という名前の女子生徒だ。
彼女はこのクラスでも有数の成績優秀者で、だからと言って学年で上位かといわれるとそうではないのだが、有体に言えば人気のある生徒だ。
さらに運動神経も抜群である。俺は詳しくないが、何かの大会で好成績をおさめたので表彰されたらしい。
多少の成績はあるが雫ほどではなく、運動神経がいいわけでもない俺は、常に彼女の一歩二歩、もしくはそれ以上後ろを歩いている。
端的に言えば、俺は彼女のことが好きだが、絶対的に釣り合わない。
君は常に、私のずっと前を歩いていた。
私は君に勝っているように思えるのに、君はどこか余裕を持っている。
だからこそ君を好きだと思ったのかもしれない。
そもそもこの感情が恋なのか、もしくはただの憧れだったのか、それとも親愛だったのか。それすらわからない。
私は君より成績がよく、運動神経もいい。
でもそれなのに、君は私より人気があり、明るい。
英語のペアである君、滝は単語を答えることは全然できなかったけど、どこか満足そうな面持ちで授業を受けている。
完璧に見えてもどこか足りない私はたぶん、どこか足りなく見えても完璧な君と釣り合っていない。
すれちがい ナナシリア @nanasi20090127
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