第45話

「おい」


 3つの影が、目の前にゆらゆらしている。


「うわ」


 ジョン・ガルオドは、その影から逃れようともがくが、足が動かない。


「………お前だけ助かったな」


 チッピーらしき影が、笑いながら言う。


「………すまない」


 なかなか、声が出にくいガルオド。


「おれたちを 置いてきぼりにして逃げた」


 コーネリアジらしき影も、しゃべりかける。


「………仕方なかったんだ」


 全員、助かる道はなかった。

 それで、納得してくれていると思っていたガルオド。

「1人だけ 2階級特進した」


 あの1件で、ガルオドは大佐に昇格した。


「それは お前らも特進した」


 死体を、捜索した軍は発見出来ないまま死亡と判断して特進した。


「女とオスプレイで逃げた」


 たしかに、逃げる時に女性が同乗した。


「民間人を避難させなくちゃいけなかったんだ」


 時間が、なかった。


「その女と子供を作った」


 一緒に、歩む決断をした。


「でも 2回妊娠したが 1人目は8ヶ月で心臓が止まった

頭がゴルフボールの大きさまでで止まったんだ

次は 3ヶ月で………」


 言葉に、つまるガルオド。


「罰だ」


「違う原爆症だ」


「オレたちを 見捨てたからだ」


 責め立てる、3人の影。


「違う違う」


 苦しむガルオド。


「探せ

せめて 骨だけでも」


 骨を、探して弔えと迫る3人の影。


「………そんな

一瞬で 消し炭になったのを」


 軍が、犠牲を出しながら1ヶ月捜索して無理だったのに。


「待ってくれ !!」


 背景の、光に溶けてゆく影。

 もがくが、追えないガルオド。


「ハァハァハァ」


 ベッドから、上半身を起こすガルオド。


「………また あの夢か」


ガチャ


 ドアを開けて、部屋を出たところで、


「わっ !!」


 廊下を、歩いていたレセアと、ぶつかりそうになり、レセアはしりもちをつく。


「うわっ 大丈夫ですかお嬢さん」


 レセアの、手を取るガルオド。


「ありがとうございます」


 その時、ジュレルがあやしく光る。


「えっ………

なんでこの艦に乗っているんだ ??」


 ガルオドには、レセアが別の誰かに見えている。


『え

あーちょっと会いたくなっちゃって』


 話を、ボカすレセアの姉。


「アメリカから わざわざ会いに来てくれたのか?」


 声が、震えているガルオド。


『………えぇそうよ』


 なんとか、この場をとりつくろうとするレセアの姉。

 そばに、女医がいて大きな声を出せない状況だ。


「今度会ったら 謝りたいと思っていたんだ

リモーネきみは森林管理局でパークレンジャーをしていたけど 仕事を………

森を破壊してすまなかった」


 リモーネに、あやまっているつもりのガルオド。


『イイのよ そんな些細ささいなこと』


 早く、会話を切り上げたいレセアの姉。


「ゆるしてくれるかい?」


 今にも、泣きそうなガルオド。


『えぇ ゆるすわ』


 そう言って、会話をやめようとしたレセアの姉だったが、


「よかった

核爆弾を 使うなんて知らなかったんだよ

ただ 爆弾を2ヶ所同時に爆発させてマグマを早く出しきるって聞いて

マグヤネンに 騙されたんだ!!」


 吐き捨てるように、言うガルオド。


『………お前か』


 聞き捨てならないことを、聞いてしまった。


「えっ ??」


 顔色が、青ざめるガルオド。


『お前らが あの騒動の犯人かって聞いているんだ !!』


 ガルオドを、にらむレセア。


「ああ

だからあやまっているじゃないか !!」


 オロオロするガルオド。


『クソがぁ』


 ジュレルが、強烈に光りだす。


「ぅああぁぁぁ」


 絶叫するガルオド。


「姉さん………」


 絶句するレセア。


「………きみは

誰かな」


 ガルオドが、気が付くと目の前にレセアがニッコリと笑いながら立っている。


『わたしは ナンシーです』






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人間性を欠如して 魂を侵されたけれど今まで盗まれたモノをキッチリと取り戻す為に旅へ出ることにするわ♥️♥️(ブランク ザ ゴット) なばば☆ @bananabanana1E

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