アサシンメイド
雨宮結城
Mission 1
時間は深夜、とある建物でそれは起きていた。
「おい……奴はどこだ」
「くそ……あんなに殺しやがって」
何者かに命を狙われている男二人は、建物の地下まで逃げ、物陰に身を潜めていた。
「はぁはぁ……なにがなんでも奴も殺すぞ。この拠点まで潰されたら……野村連合は終わりだ」
「にしても……奴は何者なんだ」
「たしかに……急に現れたかと思えば十秒も経たない内に……俺ら以外殺されちまった」
「三十人はいたんだぞ」
「まず奴は一人なのか」
「知るか! ここの入口はあそこの階段一つのみ……何人だろうとドアを開けた瞬間に撃ち殺してやる」
男二人が、突然現れた何者かを、地下に現れるまで、今か今かと待っていると、ドアの奥、階段を下る音が聞こえてきた。
「! (キタ)」
その音は少しずつ大きくなり、男二人も銃を構え、その瞬間を待っていた。
「(さあ来い)」
「(何者か知らんが、ここで死ぬ運命だ)」
音が止まり、ドアノブを触るだろうと思い、男二人は、銃の引き金を引こうとした。
「(今だ)」
だが次の瞬間、突然天井が爆発した。
「! なんだ!」
爆発の影響で飛んできた瓦礫に、男達は埋もれ、身動きが取れなくなった。
「なっ……なんだ」
「なんで天井が」
その二人に近づいてくる足音。
「……」
「お……お前は」
「お……女!」
「女! 俺達はこんな女に……て待て……女と言えば……最近聞いていたあの噂って」
「噂って……最近ここいらの組織を潰し廻ってるって言う殺し屋か」
「女の殺し屋って……まさかお前は……殺し屋舞姫!」
「舞姫……まさかとは思ったが……ホントに女だったのか」
「野村連合……その数四十……ここ以外の拠点は潰したので……残るは貴方達二人のみ」
「野村連合にこんな真似をして……タダで済むと思ってんのか」
「
「なんで俺達の名前を」
「情報収集は基本ですので」
「くっ……俺達のバックには獅子組が着いてんだぞ……この国の汚れ仕事を受け持つ……言わば裏の世界の頂点の組織……そんな相手に……おま……」
「たつ……」
二人の会話が終わる前に、舞姫は刀で彼らの頸を斬り、頭と胴体から切り離した。
「私は……ただ殺すのみ」
仕事を終えた舞姫は、武器を捨て、服装も着替えてから、その建物から離れた。
30分後、ある建物に着き、エレベーターに乗った。
乗った際に舞姫は、各階の番号の内、偶数の数の番号のみを押した。
そうすると、エレベーターは動き出し、地下が表示されていなかったが、そのエレベーターは地下四階まで移動した。
「戻ったか……舞姫」
「はい……お掃除完了致しました」
「よくやってくれた。これでこの国は、また一歩綺麗になった」
「紅蓮様のご指導のたまものです」
「私も驚いているよ……舞姫は覚えが良い」
「もったいなきお言葉です」
「この国は実力主義だからな……特に男と女の間にある壁は凄まじいものだ。力に関わる仕事は男……それ以外は女の仕事。それぞれの役割を果たせ。そう宣言したからな。
「榎田健介……今最も権力のある組織のトップ」
「あぁ……本来そういった力は総理大臣なのだが、二年前の事件以降、総理大臣の力は消え、表の者共は、総理大臣がこの国の頂点の人物だと思っているが、実際はただの操り人形に過ぎない、実質榎田健介が総理大臣だ」
「
「まったく……灯台もと暗しとはよく言ったものだな。情報上は身近だが、誰もその真実には気づかない」
「紅蓮様、次のお掃除はどこにいたしますか」
「そうだな……次のお掃除先は鬼塚家だ」
「鬼塚家」
「知っているか?」
「はい……たしか影村家と縁のあるご家庭だとか」
「あぁ……影村家当主、影村隼人。あの男は心が傷つきやすい性格でな、あの宣言も表向きには影村隼人が放ったと思われている。その為当然最初は反感がとても多かった。今となっては、我々が介入した為に声はないが……奴の心は今も傷ついている」
「鬼塚家との関係は、どこにあるのでしょうか」
「鬼塚家当主の
「鬼塚家には、鬼塚裕也もいるのでは」
「今彼は別居中で、別の地域にいる。なので問題ない」
「かしこまりました」
「頼んだぞ……期限は明後日の夜までだ」
「はい」
舞姫はお掃除、もとい暗殺を行うべく、その部屋を出た。
「(にしても、自身の野望の為に、自分の兄を殺してくれと依頼してくるとはな)」
舞姫の上司であり、裏世界最強の殺し屋である紅蓮は、クスリと笑い、ある相手に連絡をとった。
「久しぶりだな、紅蓮だ。実は頼み事があってな」
アサシンメイド 雨宮結城 @amamiyayuuki0523
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