第46話 レディーファースト
そしてあの日から俺は彼女の事を「美華」と呼ぶようになった。
”美華...やばいっ!最高すぎるっ!”
思い出すだけでニヤニヤが止まらない俺。
ちなみに彼女からは「亮ちん」と言われるようになった。
”うん”
”なんでもいい”
”可愛すぎる!”
決して付き合ってるわけでもないのに、始めて彼女が出来たと言わんばかりに、体中から喜びが溢れかえっている為、会社の人達にもバレバレだった。
第三者から見たらイタイだろう。
でも主観で考えてみて欲しい。
30代男性。結婚間近とまでいっていた元カノと別れ、そして急に現れた、年下のめちゃくちゃ可愛い女の子と、少しでも前に進めて、溢れないやつがいないわけがない。
もし、「いやっ!そんなん普通っすよ!」って冷静な顔をして言うやつがいたら、そいつはもっと喜んだ方がいい。人生もったいない。
そんな嬉しさが溢れすぎている俺。
今日は美華と約束していた水族館デート再び到来。
朝早く起き、顔をしっかり洗い、目を開く。そして隅々まで歯磨きをする。
やはり美華とデートとなるとこうもなる。
そして服を着替え、俺はカーテンを開けた。
”よっ!太陽!今日もよろしくなっ!”
今日もいつになく太陽がじゃれ合おうとしてきていた。
約束の時間の30分前、俺は家を出て、待ち合わせの場所まで向かった。
思えば色々あった。
長かった。
ここまでくるのが。
でも俺は心から思う。
美華と前に進めた事は本当に嬉しい事だが、何よりも美華が海外に行き、成長できた事。
あれから仕事っぷりもますます良くなって喫茶店の売り上げもあがってるし、何より大きなトラウマを取り除いたように見えた。
彼女が抱えていたたくさんのトラウマ。
自分でそのトラウマを跳ね除ける事が出来たのだ。
いや違う。
きちんと受け入れたのかもしれない。
それにこれからも俺がしっかりと彼女を支えていく。
さらに自分に気合いを入れた俺。
そして彼女よりも早く待ち合わせ場所に着いた。
”美華にラインいれとくか...”
そう思いスマホを開きラインを打とうとすると...
美華「亮ち~ん!」
彼女の声が聞こえた。
そして俺がゆっくり顔を上げると、そこにいたのは...
美華と唯愛ちゃんが仲良く腕を組み、楽しそうにお話しながらこっちに向かってきていたのだ。
”えっ?え??え??デート...じゃなかったけ?”
そんな事を思っている間に、もう俺の目の前まで来ていた二人。
美華「唯愛も誘ったよっ!前三人で一緒に行こうって約束したじゃん!」
唯愛ちゃん「デートと聞いたから申し訳ないかなと思ったんだけど、美華が曲げなくって...」
少し申し訳なさそうにしていた彼女。
表面上は...
だって顔の奥は凄く嬉しそうなの丸わかりだからだ。
俺もしばらく理解できずに、時が止まっていた。
”デート?...デート...二人?...三人?...”
しばらく放心状態だったが、俺は受け入れた。美華を。
これでこそが俺の一番大好きな美華なのだから。
そして俺は二人に言う。
亮「よしっ!デート行こう!三人でっ!」
~終~
レディーfirst 夜影 月雨 @za-bi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます