第45話 帰国前日

 そして時がたち、俺はますます仕事に励みがでていた。


"なんでだろう。彼女のおかげか?"


彼女が頑張っていると思うと自分までも頑張れる。

彼女が海外に行って約1年。


明日帰ってくる。


美華に言われていた。


 美華「帰ってきたら、ここの公園で二人で会おうね」って...


明日帰ってくるが、1週間前から待ちきれずにいた為、ずっと仕事の帰りに公園に行っていた。

そして今日も仕事終わりに公園へ向かう。


 ”思えばどうして俺は美華の事、こんなにも好きだったんだろう...”

あなたのココとそういう所が好きだから、お前の事が好きだ。とか本当にわからない。

でも今は正直...他の人なんかに目が行かないぐらいに、俺は彼女の事が好きだ。

好きで好きで...。


 そんな事を思いながら公園に着き、いつものベンチに向かおうとする。


するとそこになんと...



 美華「亮さん!ただいまっ!」

彼女がベンチの前で俺の方を見て立っていたのだ。


 亮「え?美華ちゃん?帰国明日じゃないの?」


 美華「そおだったんだけど、時差で皆に伝える日にち間違えてたのっ!」


 亮「なんだよそれ~!」

確かに海外となると日にちの感覚がおかしくなるのもわかる。


 美華「そお言えば、私も一日間違えてるんだけど...亮さんも間違えてない?」

俺の所に来て下から俺の動揺する姿を見ながら覗き込んできた彼女。


 亮「美華ちゃんに会える日が近づくにつれて、そわそわしてきちゃってさっ!なんか良く分からないイメトレをしてた...」


 美華「それなんのイメトレ?いやらしっ!」


 亮「そんなんじゃなくってさっ!」

しばらく慌てていた俺。

それを見て彼女も笑う。

そして...落ち着いた俺は。


 亮「美華ちゃん。おかえり!」

笑顔で伝える。

その言葉を言った途端、彼女は俺に飛びついてきた。


 美華「ただいまっ!亮さん!」


急な積極的な彼女の対応に驚きを隠しきれない俺。


 亮「おおおお....ちょちょちょちょっ....ビックリしたぁ~!」


 美華「なんでよ~!外国では挨拶に抱き合うのは当たり前でしょ~?イメトレはどうした?イメトレは~!」

やっぱり海外に行って自分自身の殻を打ち破ってきたかと思う俺。


 日本以外の文化を全く知らない純日本人の俺は、恥ずかしさのあまり彼女に対する思いをそのままぶつける事が出来ず、彼女を抱きしめる事が出来なかった。


 恐らく俺たちは両想いであろう。

誰が見ても分かる。

だが、それを確認しあう事はしなかった。


言わなくても俺達二人が分かればいいのだから。

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