第44話 小春さんと美華
そして喫茶店の店内に入り、皆で唯愛ちゃんを祝うことにする。
小春さん「唯愛ちゃん!誕生日おめでとー!」
知華さん「おめでとー!これからもよろしくねっ!」
唯愛ちゃん「ありがとうございます!これからも楽しみましょー!」
皆でお昼に作ったであろう、ケーキやデザート、そして簡単な軽食など、たくさん用意されていた。
ザ女子会。
この中に混ぜてもらえるのは本当にありがたい事だ。
でも、こうして思えば、海がキッカケで仲良くなれたのかもしれない。
べつにこの中に彼女がいるわけではないのに、いつも何かしらあれば誘ってもらえて...
誕生日会を楽しんでいると、唯愛ちゃんのスマホから着信が鳴る。
”美華からだ!”
唯愛ちゃん「もしもし?」
美華「唯愛ー!久しぶり!そして誕生日おめでとー!」
久しぶりに美華の声を聞き、かつてないぐらいに喜んだ表情を見せる彼女。
唯愛ちゃん「美華~!ありがと~...美華は頑張ってる?」
美華「うん!全然英語わからないけど、私のコミュニケーション能力でなんとかっ!でも言葉じゃない何かで、仲良くなったりして本当に毎日新しい発見ばかりだよっ!」
そして、知華さんも唯愛ちゃんの隣で、”変わって変わって”と言わんばかりにスマホに顔を近づけていた。
唯愛ちゃん「私!美華が帰って来るまで頑張るからねっ!だから...頑張って!」
そして知華さんに変わった。
知華さん「美華!元気にしてる?不安なとことかない?」
美華「お姉ちゃん!うん!今の所大丈夫だよっ!私がいない間喫茶店、代わりに出てくれてありがとねっ!」
今度は唯愛ちゃんがスマホに顔を近づけて、耳を傾けていた。
それをカウンターに座りながら、優しい眼差しで眺めている小春さん。
亮「小春さんは話さなくてもいいの?」
俺は尋ねた。
小春さん「うん!私は大丈夫!美華ちゃんと約束したからねっ!」
亮「約束?」
小春さん「そう!私一回海外行ってるでしょ?美華ちゃんに行く前に少し話をしてたんだ...気をつけないといけない事とか。でも彼女は言ったの。"私、行く前から小春さんに頼りすぎてるから、それだと行く意味がない...だから、もう小春さんに聞くのはやめて私自身でたくさんいい事も悪いことも経験してくるよっ!"って...」
亮「そんな事言ってたんだ...」
小春さん「私も行ったからわかったけど、不安な気持ちはたくさんあるけど、その不安を自分でぶち破っていかないといけないからねっ!だから、帰ってくるまで、連絡もとらないように約束したわ!」
そう言いながら、自分でついできた赤ワインを一口飲む。
亮「意外と、小春さんと美華ちゃんって...意外と信頼関係あるし、なんか唯愛ちゃんとは違った何かで、またいいよなっ!」
小春さん「え?仲良くないって思ってたの?」
亮「凄く仲悪いとかではないけど、唯愛ちゃんよりかは言い合いしてるのかなって思っててさ...」
小春さん「あー!前の美華ちゃんが妬いて外に出ていった時の事でしょ?あれまだ気にしてた?」
亮「まぁ一応なっ!」
俺も残りの赤ワインを一気に飲み干した。
そして小春さんが言う。
小春さん「あれは、美華ちゃんに焼きもちを湧かせようと思ってただけよっ!唯愛ちゃんと相談してねっ!けれど...本音じゃない所もあったわよもちろん!」
亮「ん?なんで」
そして彼女はニヤニヤしながら、耳元で俺に囁いてきた。
小春さん「亮さんの事が好きだから」
亮「え?!」
突然言われ、動揺を隠しきれない俺。
小春さん「あははっ!動揺してるっ!さては行く前、美華ちゃんと何かあったな~!」
亮「冗談かよ~!いつもこうして見破ろうとしてくるな!」
小春さん「まぁ、無事美華ちゃんが帰って来るのを待っときましょっ!だからっはい!飲んで飲んで~!」
そして彼女は空いている俺のグラスに赤ワインを足し、新しいワインを取りに、ここの席を離れた。
あの時彼女がここの席を立った時少し切なそうな顔をしていた事に、俺は気づいていなかった。
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