第43話 唯愛ちゃんと美華

 そして月日がたち、美華は海外へと旅立った。


 ”頑張ってこいよ!”と心の中で思うのと同時に、急な喪失感にも陥った。


だけど、俺は彼女約束した。

しっかりと支えないといけない。


そう思い俺は日々を過ごしていた。


 そんなある日、仕事の休憩中に俺のスマホからラインの通知が来る。

小春さんからだ。


 小春さん”亮さんこんにちわー!今日の夜、空いてる?うちの喫茶店で、唯愛ちゃんと、知華さんと唯愛ちゃんの誕生日パーティする予定なんだけど、亮さんにも来て欲しいなぁと思ってねっ!”

そんな内容だった。


俺は、すぐに"参加する!"と小春さんに返信し、昼からの仕事を早く終わらせ、喫茶店へと向かった。


 "ガチャッ"


 小春さん「あっ!亮さーん!仕事おつかれさまっ!」

知佳さんと一緒に準備をしていた彼女。


 亮「お疲れさん!あれ?唯愛ちゃんは?」


 知佳さん「今日は唯愛ちゃん仕事休みだったから、後もう少しでくるわよっ!」

美華との事を頭で考えすぎて、唯愛ちゃんがいない事にソワソワしてしまっていた俺。


 亮「そっか...まだ時間あるよな?ちょっと外でタバコ吸ってくるわ!」

そお言って、店の外に出た。

横のベンチに座り、夕陽が広がる空を眺めながらタバコを吸う。


 "美華...頑張ってるかなぁ..."

海外に行って一ヶ月たとうとし、俺は毎日そんな事を思っていた。

すると...


 「そのタバコ...海さんと同じでしょ?」

唯愛ちゃんがやってきた。


 亮「そおだなぁ...アイツの事忘れたくなくてな...」

そんな事を呟く俺。

そして彼女は俺の隣に座った。


 唯愛「美華...行っちゃったね...」

彼女も空を見上げる。


 亮「やっぱり寂しいよな...ずっと一緒だったもんな...」


 唯愛「うん...そおだね...でもこれが私達にとってチャンスなのかもしれない」


 亮「チャンスとは?」


 唯愛「ずっと一緒にはいたいけど、いつかはどっちかが居なくなるだろうし、離れて暮らさないと行けない時だってくるかもしれないからさ...だから帰って来ても一緒にはいれるけど、少しでもお互い自立はしないとなってね...私、ずっと支えてもらってるから、美華に...」

彼女も美華が海外に行ったことで少しでも前に進もうと、成長しようと努力していた。


彼女にとって、海と付き合った事で二人がお互いに自立したと思っていたが、アイツがあんな事になってしまい、二人がまた一緒にならざるを得なかった。

でもこれも運命。


 亮「無理して、二人が自立しようと思わなくてもいいんじゃないか?」

俺は言った。

 

 唯愛「亮さん...」


 亮「唯愛ちゃんには美華ちゃんしかいないだろうし、そのまた逆もそう。だから別にいいんだよ!だから帰って来たら皆で盛大に迎えてあげような!そしてまた前みたいに楽しく皆でやっていけばいいさっ!」


 唯愛「亮さん...ありがとねっ!...」

彼女は堪えていた涙を流した。

そして俺は、彼女が落ちつくまで待ち、その後彼女と一緒に店内に入っていった。


 "これでいい!これでいいんだ..."

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る