〝きみ〟がいれば充分。



私の家のお隣。




凪くんの家の、凪くんの部屋。




茶色と青系でシンプルにまとめられた、

凪くんの部屋は、いつでも爽やかだ。




まるで、凪くんの名前そのものみたいで。




今は、入ることは

少なくなったけど凄く、素敵なお部屋。




久しぶりに見た凪くんの部屋を、

緊張をほぐすかのようにキョロキョロ見ていると。




「桃。俺、やっぱりちゃんと言うから聞いて」




──────ギュッと、

私の手を握ってきて視線を合わせて言う凪くん。




凪くんの緊張は、

その指先からも伝わって来て。




まるで...............熱が移りそうな感じ。




「桃。俺さ、桃が、桃奈が好きだ」




普段、『桃』って呼ぶのに、

不意に『桃奈』って呼ぶ凪くんはずるくて。




「............っ、凪、くんっ、凪斗くん、

私ね、〝きみ〟がいれば充分......っ、だよ」




凪くんに感化されるように私も言葉を出した。




言葉に出して伝えるって、

凄く勇気のいることだけど。




私は、友達がいなくてもずっと思ってたよ。




──────〝きみ〟がいれば充分って。






fin.

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〝きみ〟がいれば充分。 二宮みぃ。 @2nomiya_mi

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