現代ファンタジーを席巻しているダンジョン配信ものの作品の中でも、これは異色。
まず、作者の既存作品である「迷宮保険」のスピンオフである点がひとつ。
もうひとつは、一人称小説でありながら、主人公(視点の主)と物語的主役が別々であり、前作「推しの子の迷宮 ~迷宮保険員 エバのダンジョン配信~ 世界で唯ひとり蘇生の魔法を授かった最強聖女さまは、全滅した人気Dチューバーを生き返らせて華麗にバズります」の主人公とも別人なのである。
シリーズ物としては、本編「迷宮保険」主人公の「エバ・ライスライト」をスピンオフ主人公の目を通してみているという点は共通しているものの、主人公同士に共通点がない。
この作品、徹底して私たち=視点の主である主人公の目を通して、エバさんを見ているのである。
しかも、厳しいWIZ世界のダンジョンが現代に現れてしまったという世界線。半端じゃなく「死」に近いダンジョンが、私たちの前にその暗い口を開けているのだ――。