第242話 学校の建設について話す

 フェロールも学校建設には賛成みたいだね。これからノースウエストを大きな町にするためには、必要な物だと思ってくれているのだろう。ボクもそう思う。学校があれば、かなり発展した町だと言えるよね?


「これでようやくちゃんとした町だと言うことができるね」

「何を言っているのですか。すでに立派な町ですよ」

「そうかな? でもまだまだ人口が……いや、ドワーフ族とエルフ族が増えたので、かなりの人数になってきたのかもしれないね」


 ううむ、そろそろ住民票が必要なのかもしれないな。それがあれば、外からやってきた怪しい人を、早く見つけることができるようになるかもしれない。ああでも、警備は妖精族がしてくれているんだったな。それならば面倒なことをせずに、それに任せておいた方がいいのかもしれない。




 翌日、ボクの屋敷にはヨハンさんの姿があった。それだけではない。これからノースウエストで建物を建てる担当をしてくれるドワーフ族さんとエルフ族さんたちの姿もあった。


 これから学校の建設についてや、住居についての確認を行うことになっている。そこにはもちろん、ローランドくんの姿もあるぞ。アドバイザーとして、話を聞くことになっている。


「昨日、デニス親方と話したんだけど、大浴場の近くに学校を建設したいと思っているよ。そしたら汚れてもすぐにお風呂に入ることができるからね。帰りについでに入ることも可能だよ」

「なるほど、よい考えだと思います。学校を建てるのはいいとして、どなたが先生をするのですか?」

「そこは町の人たちや、エルフさん、ケットシーさんたちにお願いしたいと思います。ドワーフさんたちは無理みたいですからね」


 そう言って顔をドワーフさんたちに向けると、険しい顔をしてうなずいた。どうやら考えるだけでも、嫌だったようである。そうだよね、先生になれば、同じことを何度も教えることになるからね。


「ねえ、私たちも先生をしてあげようか?」

「妖精さんたちも? そうなると、何を教えることになるのかな」

「もちろんイタズラ……じゃなかった、遊び方よ」

「遊びか~、それも大事だよね」


 机の前に座って、勉強するだけだと、だれも学校へ来ないかもしれない。それなら体育の代わりに、遊びの授業をするのも大事だろう。子供たちには丈夫な体を作ってもらいたいからね。でも注意はしておくべきだろう。


「それじゃ、運動について教えてもらうことにしようかな? でも、イタズラを教えるのはダメだよ」

「もちろん分かってるわよ」


 これで決まりだね。妖精さんたちの人族の姿はちょっと刺激的すぎるかもしれないから、そこも抑えてもらえるようにしてもらおう。

 エルフさんたちもケットシーさんたちも、人手を探してくれるそうである。学校が完成するまでにはまだまだ時間がかかると思うので、じっくりと探していこうと思う。


「リディル様は先生をやらないのか?」

「うーん、ボクはまだまだ教えられる立場だからね。やるとしても、あと何年後かになると思うよ」

「リディル様からはすごいことを学べそうなんだけどな」

「そうかな?」


 ローランドくんの中で、ボクのことがどんな人物像になっているのか、ちょっと気になる。命を助けてもらったからって、目が節穴になっているんじゃないの?

 そんな風に思っていたんだけど、アルフレッド先生もデニス親方もニャーゴさんも、だれも否定しないんだよね。どちらかと言うと、「当然」のような目で見られているような気がする。


「領主様から直接指導を受けるというのは、みんなのいい刺激になるかもしれませんな」

「なるほど、そんな考え方もあるのか。ノースウエストをもっと大事に思ってくれるようになるかもしれないね」


 ヨハンさんのそんな指摘に、ちょっと納得する。愛国心ならぬ、愛町心が高まれば、ノースウエストの発展は間違いなしだね。

 そうして話し合いが終わったところで、さっそくみんなが動き出した。ヨハンさんはドワーフさんたちと一緒に、最終的な建設予定地を決めてくれるようである。


 町の人たちの通いやすさとかもあるからね。任せてしまった方がいいだろう。その間、ボクはマジックバッグの続きを作ることにしようかな。でもそうなると、ミューとローランドくんが暇になりそうなんだよね。


「これからボクはマジックバッグの続きを作るけど、ローランドくんはどうする?」

「俺も魔道具を作ってみたいけど、やっぱり無理なのかな?」

「難しいと思うけど……いや、待てよ。デニス親方!」


 一仕事を終えて、ドワーフ族仲間と一杯やろうとしていたデニス親方を呼び寄せる。さすがにこれからお酒を飲むのはどうなのよ、と言いたい。でも色々と聞きたいことがあるので、許してあげよう。


「ドワーフさんの弟子になった人は、どうやって魔法文字を書いているの? 確か、魔法は使えないよね?」

「ああ、それか。それならケットシーが作った、特殊な錬金術の道具を使って文字を書いているぞ」

「え、そんなことできるの!? ボクも使ってみたい!」


 どうやら魔法が使えなくても、魔法文字を書くための道具があるみたいだね。確か人族の間で使われている物は、品質が悪くて、とても使えないという話だったんだけど。

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世界樹の守り人 えながゆうき @bottyan_1129

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