ぼくらの日常再び?

第26話 何で知ってん?

「待ってたわよ。田中君」


 次の日。教室に入るなり、ドドンと効果音を背負った女子に迎えられた。


「ホント、待ちくたびれた~」

「もっと早く来なさいよね」

「気を利かせて、朝一に来るとかしなさいよ」


 朝から理不尽気味に女子の集団に絡まれるという、ちっとも男子から羨ましがられない状況になっております。


「‥‥‥‥え、え、なに?ちょっと怖いんですけど‥‥‥‥」


「聞いたわよ。いいモン持ってるって」

「昨日、手に入れたんでしょ?」

「まさか、独り占めなんてしないわよね?」


 「昨日」と聞いて、委員長様の方を向けば、肩をすくめて─────「だってしょうがないじゃないか」とばかりの仕草をされた‥‥‥‥。


 何故、そんな事を知っているんだ。クラス女子の皆様は?

 え?七瀬さんがクラス女子専用で呟いてた!?

 ナニソレ、そんなのあんの!?初耳なんですけど─────こわい。 

 

 仕方なく‥‥‥‥本当~に仕方なく‥‥‥‥。そっとホールケーキを取り出した俺は、クラスの女子から拍手喝采をいただいいた‥‥‥‥。うれしくない


 血の涙を流しながら、ケーキ接待をしている俺に、クラスメイトから更に追加を要求される。

 容赦ないなっ!お前ら!今度はこっちがいい?朝からどんだけ食べるんだよっ!

飲み物を付けて欲しい? それは各自で用意してください‥‥‥‥。


「そういえば聞いたよ。田中君」


「『四方結界』出来たんだって?」

「へ~やったじゃん」

「今度は嚙まなかったんだ」


「‥‥‥‥」


 ‥‥‥‥無言で追加を献上する。

 その様子から「‥‥‥‥噛んだんだ」と察してしまう仲間たち。


 ふっふん。し、仕方ないじゃないか結構勢いがすごくて、緊張もしたしっ!?今度は上手くやるもんっ!あ、お前らの仲間にはならないよ。お前らの仲間になるとポージング決めないといけないから五人でやってね。ポージング五人組が近寄ってきたが俺は絶対そっちには染まらないぞっ!

 

「でさでさ、どうだったの?」


「何が?」


 急に盛り上がる女子はちょっと怖い。微妙に距離をとると同じだけ詰められる。


「推しよ推しっ!どんな感じ?」


 あ~そうだった。昨日の人達は、ちょっと変わった事をしている人達ではあった‥‥‥‥が。


「うん、まあいい感じの人だったよ」


「それだけじゃわかんないわよっ!もっとなんかないのっ!」


 いやんっこわい。ていうか委員長がいたじゃんって言うと、あっちも似たようなもので役に立たないと返された。

 なぜ俺だけが責められる?ケーキも取られたし?─────俺ってなんて可哀想。


「あ、七瀬さんが個人観賞用アルバム追加してた」


「え、一人じゃないの?」


七瀬副委員長「個人観賞用アルバム」と聞いて、ソッチ系と瞬時に悟る女性陣。

 皆さん、感が良すぎません?ちょっと察知良すぎでは‥‥‥‥。


「一人だと思うけど、付き添いっぽい人と一緒にいたから‥‥‥‥」


「「「‥‥‥‥さすが美菜っち」」」


「呼んだ?おはようみんな。田中君、私チョコがいい」


 いつもより遅めに登校した七瀬さんに、来た早々ケーキを要求されるという悲しい出来事に俺は泣き、女性陣は七瀬さんの個人観賞用アルバムに鈴なりになり、めっちゃ盛り上がった。

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放課後勇者は忙しい~クラス転移の繰り返しで全員チート ただし本日ご機嫌斜めの為、巻きが入ります 山田みかん @mican0329

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