第49話 温泉へ

エモリーがフローラ様たちの後をついて行くので、仕方なく自分もついて行く。

そして、フローラ様たちは建物へ入っていくが、それは温泉だった。


「なんだ、風呂か」

「どこへ行くと思ってたんだ」

「そうだな姫様だけが知っている秘密の場所とかだな」

「そんなものはないぞ」

「言い切れるのか?」

「そう言われると自信がないが、こんな小さい宿場にあると思うか?」

「こんな小さい所だからあるんだよ」

「そうなのか?」


フローラたちの後をついて来たアランとエモリーはこんな事を言い合っているが


「なんか、アラン君とエモリーがついてきてますね」

「そうだね、覗きかな」

「まさか、アラン君がする訳ないですよ」

「意外とああいうのがスケベなんだよ」

「確かにそうかもしれませんね」


とアルニルとトリシャは気づいていた。


「流石に覗きはしないはずですよ。それより、久しぶりにしっかり入浴ができますので早く入りましょう」

「そうだね、騎士くんたちより温泉が大事だよ」

「そうですね、ここは王都よりも高い所なので日が傾いたら冷えてきました」

「そういえば、イザベラは?」

「先に入っていきましたよ」

「むむ、先を越されたか。それじゃ、あたしもお先に行くよ」

「では、フローラ様、わたしたちも入りましょう」

「そうですね」


フローラたちは温泉の建物に入って行った。


「風呂か、俺はいいか」


エモリーはそう言って去ろうとしたが、アランはエモリーの首根っこを掴む。


「おい、なにするんだよ!」

「何をじゃない、折角温泉に来たのだから入っていくぞ」

「俺は入らないと言っただろ!」

「いや、入ってもらう。エモリー、お前の体臭は正直きついぞ」

「……マジか?」


アランにこう言われ、エモリーは自分の臭いをかぐが


「そんなことないぞ」


と言う。


「それは慣れて臭いわないだけだ。正直、一緒に居てきついぞ」

「まぁ……賊はたまにしか水浴びをしないからな。そもそも、風呂に入るという習慣がない」

「そうなのか」

「ああ、風呂なんてゆっくり入って居らないからな。一番無警戒になるうえに、いつ何時何があるかわからんからな」

「要は命を狙われるという事か?」

「ま、そういうとことだ。仲間や部下と言っても、完全に信用してない......いや、全く信用していないといってもいいぐらいだ」

「そういものなのか」

「ああ、どこかで何かをやらかしてる連中の集まりだ。もちろん、1人や2人、信頼を置ける奴はいる。

ただ、そう言う奴ほどむしろ裏切る。だから信頼はしても信じはしない」

「なるほど、そういうものか」


アランはエモリーの話を聞いて信用できる仲間がいないのは可哀そうだと思ったが口には出さない。

そして、エモリーを掴んでいた手を離した。


「と言う事で、俺は行くぞ」


とエモリーはアランが手を離した隙を付こうとしたが、素早くアランは再びエモリーの首根っこを掴んだのだった。


「く、逃げられないか」

「いいから諦めろ。ここにはエモリーを知ってる者はいないだろ」

「いや、わからんぞ、いるかもしれないぞ」

「子供じゃないんだから、風呂にはいれよ。とにかく行くぞ」


アランは強引にエモリーを引っ張るが、アランは意外と力ありずるずると引っ張られるので

エモリーも諦めてちゃんと自分で歩いて温泉に入るのだった。


―――――――――


「ふう、いいお湯でした」

「そうだね、やっぱり温泉はいいね。そして、風呂上りに飲む牛の乳はおいしい」


トリシャは腰に手を当て、瓶に入った牛乳を一気に飲む。


「お風呂上りに牛乳を飲んでおいしいのですか?」

「もちろんだよ。温まった体に氷の魔法で冷やした牛乳を飲む、これがいいんだよ」

「そうなのですね。では、わたくしも頂きたいです」

「そこの箱にただで飲めるから」

「そうなのですね。では、いただきましょう」


脱衣所の隅に木の箱があり、この中に氷の魔法を使って作った氷によって

冷やされた瓶の牛乳が入っているが、無料サービスと書いてあり悪寒を出さないで飲める。


 イザベラもトリシャの様に、腰に手を当てて瓶の牛乳を飲み干すと


「確かに、これは美味しいですね」


と言うのだった。


「この辺りは酪農が盛んで牛乳も多いそうですが、牛乳はなかなか日持がしないですが

瓶に詰め、ゆっくり引く温度で加熱する事により日持ちがするようですね」

「そうなんだ」

「ただ、遠くに運ぶには冷やさないといけないので、王都など大きな街まではしゅっかされてないようですが」

「こんなに美味しいの、もったいない」

「そういえば、牛乳を飲むと胸が大きくなるといいますよね」


アルニルがこう言うと


「本当、アルニル?」


とトリシャはアルニルに迫ったのだった。


「あくまでも聞いた話です。でも、フローラ様は牛乳をさほどお飲みになっていませんのでどうなんでしょうね」

「それなら、きっと嘘だよ」


2人はフローラを見て言いますが、フローラはそれに気づいて2人に背中を向けました。


「あまり胸を見ないでください」


フローラは背を向けているが、さらに胸元を手で隠くす。


「見るなと言う方は無理だよ」

「そうですよ、見ようとしなくても見えてしまいます」

「そうですが、それでもです」

「姫様が剣を振れないのは、やっぱりこの胸が原因かな」

「他にもいろいろ原因はありますが、原因の一つですかね」

「だよね」


アルニルとトリシャはフローラをまじまじと見てこういうだった。


――――――――


一方、アランとエモリーは


「まったく、何で男2人で湯に入らないといけないんだ」

「文句を言う割に、気持ちよさそうじゃないか」


温泉に入るのを嫌がっていたエモリーは文句をいいつつも、気持ちよさそうに露天風呂に浸かっている。


「せっかく金を出したんだ、元は取るぞ」

「どうしたら元が取れるかは知らないが、明日からは峠越えだからゆっくり休むぞ」

「峠ってことは、賊も出るって事だろうな」

「確かに、山賊もでるがそのために自分たちがいる」

「強いのは姫様の侍女と見た目は子供だが数百歳のエルフだろ」

「そうだが、自分も護衛だ」

「最初に出会った頃よりは鍛えて貰ったようだが、まだまだ経験が足りないぞ」

「それは間違っていない」

「経験だけは実際にしないとダメだからな、ま、がんばれや騎士様」

「……ああ」


エモリーが珍しくアランを応援しているが、アランは素直に受け取る。

そして、温泉が心地よく2人はうとうとしはじめたが、のぼせて来たので温泉があがった。


「日が沈んだら冷えてきたな」

「そうだな、早く中に入るぞ」


アランがそういって、大事な部部を隠すがそれを見たエモリーは


「騎士様、隠すとは自信がないのか?俺は堂々としてるぞ」


と言うが


「隠すのはマナーなだけだ」


とアランは反論する。


「そういって、自分の物にじしんがないんだろ?身体は立派だが、あそこはってやつは多いからな」

「別に大きおは気にしていない」

「そう言う奴ほど小さいんだよな」


エモリーはアランを煽るが


「わかった、見えればいいんだろ!」


とアランは隠すのをやめるが、それを見たエモリーは


「……大変失礼しました、騎士様」


と言うのだった。


「まったく、マナーだからといってるだろ。冷えるから行くぞ」

「はい、そうですね」


エモリーはアランい対する態度が変わったのだった。


「やっぱり、風呂はいいよな……」

「そうだな、疲れが取れてた……」


アランたちは宿へ戻ると、ベッドに横になる。

明日からは峠越えになるが、その前に今までの疲労を回復させたが

2人は温泉に入り急な眠気に襲われ目が自然と閉じたがドアをノックする音がして


「これから食事に行きますので、ご一緒してください」


というアルニルの声が聞こえ、2人は再び目を開いたのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

姫様は最強勇者の生まれ変わり……だけど女に転生するのを拒否したため記憶と知識はあるけどチートも無双もできません。 しいず @shiizuu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ