番外編【鳥籠の姫君】
白鷲の国
~姫君の想い~
その日、我が国に激震が走った。
大白鷲を守護獣とし
国旗にも白鷲を掲げる我が国。
長きに渡る宿敵、魔王軍を指揮する
魔王を我が国の勇士が討ち取ったとの知らせが入り国民からは歓声が上がった。
そう、そこまでは良かった・・。
後日、その勇士が
馬車に轢かれ死亡する事件がおきるまでは。
農家の出でありながら
その才覚で
この王都随一の冒険者に上り詰め
貴族や王族にまで
その名がしれた彼は
国の英雄であると同時に
権力者からの厄介者でもありました。
その彼が我が国の宿敵である魔王を討伐!
晴れて勇者の称号を得て
彼の取り巻く環境を少しでも良くできればと思っていた矢先の悲劇。
王城では「厄介者が2人纏めて消えた」だの
「農民にはお似合いの最後だ」だのと
心無い声が聞こえて来ます。
なぜ彼はこの様な言われ用をしなければならないのでしょうか?
彼がいったい貴族達に何をしたと言うのでしょうか?
しかし、私はこの大きな城と言う名の
鳥籠に囚われた一羽の小鳥。
彼の為に何もする事ができない・・。
一国の姫である私を
一人の人間として見てくれた貴方。
例え力を持っても
驕る事なく優しい笑顔を見せてくれた貴方。
この悲しみと絶望から逃れる術を
私は一つしか知りません。
あぁ、神よ
この命を自らの手で
終わらせる事をお許しください・・。
勇者様
今、貴方のお傍に参ります・・。
しかし、神は私を許してはくださらなかったようです。
~現在~
「おはよー、ミルキー御飯ですよー?」
気がつけば私は見た事もない世界で
オウム?とか言う白い鳥になっていました。
「あれー?ミルキー今日は喋らないねー?
ご機嫌斜めかなー?」
で、この騒がしい娘が
コウサカミサキさん。
今の私の飼い主という訳です。
どういう訳かこの鳥は
少し喋る事ができるらしく
この子は私が喋るのを
スマホと言う魔道具を構えて
いつも待ち構えているのです。
そして、このスマホとやらは
景色や音を記録できるらしく
私が喋るのをサツエイ?
しているらしいのです。
・・・はぁ、私はどの世界に行っても
籠の中の鳥なのですね。
これも私の天命なのでしょう。
この運命を受け入れ小さな鳥籠の中で
命を終えるといたしましょう。
と、その様に考えていた時期が
私にもありました。
・・・・・・!
この魔力は勇者様!?
まさか勇者様もこの世界に来ている?
私は興奮し
羽をばたつかせます!
「ミルキー?どうしたの?」
「ユウシャシャマ!ユウシャシャマ!」
「勇者ぁ・・?何それ?
テレビ見て覚えたの?」
「ダシテ・・!ダシテ・・っ!」
「お外出たいの?
駄目だよー、ママが
外出しちゃいけないって言ってたし」
くっ、近くに勇者様が
居るかもしれないのに・・・!
おもむろにスマホを取り出し
私をサツエイし始めるミサキ。
・・・これですわっ!!
この家にはテレビと言う
魔道具もあるのですが
いつも色々な場所や人を映していて
不思議に思っていました。
もしやあれは
皆がスマホでサツエイした物を
あのテレビに映しているので
はないでしょうか?
もしミサキが
私を沢山サツエイすれば
沢山あのテレビとやらに映って
勇者様が私を見つけてくれるかもしれない!
「ミルキー何か芸してよー?
あ、お歌うたってー!」
・・いいでしょう。
白鷲の歌姫と言われた
私の美声をお聞かせしましょうっ!!
「コトリハ、トッテモ、ウタガチュキ!
カーアサン、ヨーブノーモ、
ウータデーヨブュ!」
「わぁー!じょうずじょうず!!
後でTi〇Tokに上げよ!」
・・あぁ、勇者様!私はここにいます!
おわり
~キャラ紹介~
【ミルキー】
白いオオムになってしまった
元白鷲の国の姫君。
才能と努力の人で
家庭内での会話とテレビ番組だけで
異国語と異国語の歌を覚えた。
勇者に想いを寄せている。
【高坂岬(コウサカミサキ)】
飼い主の女子中学生。
ミルキーの動画を撮って
Ti〇Tokに上げるのが趣味。
お付き合いありがとうございました!
気が向いたらまた何か書きますので
よろしくお願いします!
転生キャット 冒険者の俺は猫として第二の人生を歩む あぁ、こんな猫生も悪くない「チ○ールの為に魔王を倒す!」 羊犬 @hitsujiinu
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