恋の行方は

ナナシリア

恋の行方は

 俺は、自分のパソコンを開き、カクヨムを開き、そして手を止めた。


 俺はこれまで、中高生のリアルな心情をつづる、ということをテーマに作品を創ってきた。


 だがどうだ、そのジャンルは何だったか。俺が書いてきたのは恋愛ものが多かったように思える。


 俺は恋をしたことがあったのだろうか。確かに人を好きになったことはあるが、それは恋と呼べるものだったのか。


 どちらかといえばせっかちな俺は、たとえ人を好きになったとしても告白までの道のりが短かった。


 俺が書いている作品もさっさと付き合ってその後の距離感を大事にするものが多かった。


 俺は恋愛下手かよ。


 自分に突っ込むが、事実俺は恋愛がとても下手なので突っ込みというか事実の指摘だ。


 それはともかく、恋って何だろう。俺がしているものとは違うように思える。


 もちろんいつもいつも物語のような小綺麗な恋しかないというわけではないと思うのだが、何を恋と呼べばいいのか。


 それを書けばいいじゃないか。


 自分で思いついて、頭をガツンと殴られたような衝撃を受ける。


 俺のテーマはなんと設定したか。中高生のリアルな心情をつづる、だろう。


 今の俺の心情は間違いなくそれと一致している。俺の感情は俺にしか表現できない。


 俺は「新規小説作成」のボタンを押し、執筆フォームを開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋の行方は ナナシリア @nanasi20090127

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ