青い空から見下ろして

黒川宮音

プロローグ 晴れた日の朝

朝日が部屋に立ち込め、目を覚ました。


「もう...朝か。」


疲れが取れきっていない体を起こし朝になったことを知る。


「アイオス....いるか..?」


アイオス。そう呼ぶとワークデスクの射影機からホログラムが映された。


ホログラムの少女....アイオスも今起きたばかりらしい。


「ふぁぁぁ〜!」

「ZZZ....おはよぉ....」


眠たそうな目を擦り、おはようと言った。


アイオスは自立型支援プログラムの*Fモデルであり、彼女ほど優秀なプログラムはいないだろう。   ※プロトモデル


「この景色はどうも見飽きるな..」

「まだ2回しか見てないよ?」


立ち上がってスクリーンプロトコルをオフにした。


宇宙に暮らす人々にとって景色の投影は一種の気晴らしと言えるだろう。


現実の時間とリンクしており、夜になれば景色は暗闇へと包まれ、朝になれば朝日が昇る。


けれど本物の夜空や朝日はまだ見たことがない。


「そうだ!忘れないうちに伝えておくね」

「起きる前に一件の着信があったよ」


その一言で眠気に囚われていた状態から完全に開放された。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


制服に着替え、朝食を取っていた。


「そうだ、今日は遅めに帰りそうだから先に寝ててもかまわないよ?」


コーヒーを飲みながらアイオスに尋ねる。


「えぇ〜!そう言われたら逆に寝れないんだけどぉ」

「本当に?今日は深夜になりそうだけど...」


そう伝えるとアイオスはがっかりした表情をしていた。


「また、着信だ!」

「僕がでるよ」


そう言い、着信機を取った。


「はい、アナスは私ですが...」

「はい...わかりました」


着信機を置き、急いで身支度を整えた。


「アイオス、今週は帰れないかもしれない.」

「えぇ〜!!どうして....?」


今の着信は入星検査官「コウエル」と名乗る人物からのものだった。


火星プラントにて特殊な来客がきたという。


しかし、特殊とはいえ来客は来客だ。


出迎えに行かないわけにはいかないだろう。


そうして、火星プラントへと出発したのだった。




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青い空から見下ろして 黒川宮音 @kurokawa_miyane

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