あとがき
恋愛というのはどうやら自分の理想を押し付け合うものらしい。
「私たちが恋をするとき、その相手は「そこにいる」現実の人間ではない。実際には頭のなかで理想化した偶像、つまりアバターに恋しているのだ。もちろん現実には生身の相手との接触も定期的にあるから、そこで現物を確認することで妄想の先ばしりを防いでいる」(小田哲訳『宗教の起源』白揚社、P128)
結局何処にもリアルなんて存在せず、この世のほとんどは偶像崇拝と金で出来上がっているのかもね。そんなお話でした。
現実を真っ直ぐ見つめすぎても、妄想の世界に沈んでも、どちらでも苦しいのなら、私たちはどこへ行けば安寧の場所に辿り着くのだろう。いや、そもそも安寧の場所なんて存在しないし、みんなが生きる理由すら存在しない。それでもこの主人公が琉依と出逢えたことを幸福に思って、どれだけ辛くてもこのひとつの幸福の為だけに同じ人生を選び取れるとしたら、それはどれだけ幸福でどれだけ辛いことなんだろう。ニーチェはほんとにその選択ができると言うのかな。私はまだまだ悟れそうにはありません。
Unknown Title 柏木しき @shiki_kashiwagi
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