とある少女の告白

仁城 琳

とある少女の告白

私、あいつが嫌いだったの。だってあなたに意地悪するから。あなたがいじめのターゲットにされたのも、そのせいで学校に来れなくなったのも、あいつのせいでしょう。そのせいで私はあなたに会えなくて...ってなんでもない。あいつさえ居なければあなたは幸せになれるのかなって私思ったから、だからちょっとだけ悪戯してやろうって思って!そうしたらあなたの気持ちが分かるかなって思ったの。え、学校ではあいつは何もされてなかったって?それはそうよ、悪戯してるのが学校の生徒ってバレちゃうでしょ!だから学校では何もしなかったの。え?どこまでが私の悪戯かって?ふふ、聞きたい?まずは...何から話そうかな...え、生き物の死骸?うん!私だよ!最初は大変だったんだぁ、動物捕まえるのって難しくてさ。最初は虫にしてたんだけど冬になると虫ってあんまりいないでしょ。だから頑張って動物を捕まえたの。初めは鳥だったかな。怪我をしてたみたいですぐに捕まえられたよ。嬉しかったなぁ、それですぐに殺してあいつの家に持って行ってポストに入れた。それでね、姿を見られたら疑われるかもっていつもはすぐにその場から離れるんだけど、初めて虫以外の死骸を入れたからどんな反応するだろうって気になっちゃってしばらく見てたの。ふふ、ふふふ、あいつのあの時の悲鳴と顔、本っ当におもしろかった!腰なんて抜かしちゃってさ!やっぱり虫より動物だなぁって思ったよね。...でもさその頃からカラスとか賢い生き物の仕業なんじゃないかなんであいつのこと慰めるゴミ共が現れてさぁ...本当、ムカつくよね。私頑張ってるのにさぁ。動物がやったって。ちげーよ、私がやったんだよ。まぁそこで私がやりましたなんて言ったら悪戯を続けられなくなるから無視したんだけどね。それでね!動物がやったなんて勘違いされたら嫌だからもっと大物を用意しなくちゃって思ったの。それであの野良犬を使ったの。あなたも知ってるでしょ。あのヨボヨボの野良犬。近寄ると噛み付こうとするしみんな迷惑してたから、悪戯の道具に使ってやったらちょうどいいかなって。小さい子達とか怖がってたしさ、いい事したよねぇ私!私だって噛まれたくないからさ、餌であの野良犬をおびき寄せて捕まえたの。餌におじいちゃんちで使ってる農薬入れてさ、そうしたらあの犬、すっごい食いついて!そのまま泡吹いて倒れちゃった。あれをあいつの家まで持ってくの、大変だったんだ。大きいし、誰に見られるか分からないでしょう。だから夜中に持って行ったの。そんで人間がやってるってわかるように「お前を見ている」って書いた紙口に入れてさ。玄関に置いてやったの。あ、紙もね、指紋とか着いちゃうと嫌だったからパソコンで作ったのをコンビニで印刷して持っていったんだ。手袋付けてね。農薬もどこにでも売ってるやつだから、警察呼んだみたいだけど手がかりは見つからなかったみたい。あいつか、あいつの家族に嫌がらせしてる人間がいるってことしか分からなかったんだよ。上手くいきすぎて学校で隈を作ったあいつの顔見る度に笑いこらえるの大変だったんだから!あはは!今思い出してもおもしろい!えっと、他は...あぁ、SNSのやつね。鍵アカウントから拡散したりいいね付けたりリプライ送ったりは私。え、一人じゃなかったって。あぁサブアカウントだよ。あいつのために労力使うのも面倒だったけど十個くらいサブアカウントを作ってさ、それ使ってやってたの。これはIPアドレス調べられたら危なかったかもしれないけど、このくらいの嫌がらせって警察も動いてくれないんだよ。だから毎日その日の気分であいつのSNS覗いてやってた。途中からは結構楽しかったんだよ。あ、この投稿まだ悪戯してなかったなーって探したりして。でもあいつ、誰かから監視されてるって気味悪がってSNSやらなくなっちゃったんだよね。つまんない。写真?あぁ拡散されてたやつ?あれは私が盗撮したのもあるけど、クラスのグループチャットに載せられてたのをあいつの顔だけ切り抜いたりして色んな掲示板に載せてたんだよ。これはネカフェでやったんだ。そうしたら、そういうの好きな人っているでしょ。私が何もしなくても勝手に拡散してくれるんだよね!一応、名前と学校、生年月日とSNSアカウントとか連絡先も一緒に載せてみたらすごい勢いで広まったよね!本当、おもしろかった!あ!そうそう!出会い系サイトに誰かが載せたのあったでしょ。あれもう涙出るくらい笑っちゃったよ。私は思い付いてなかったからさ、マジありがとうって感じ。まぁネット関連はこのくらいかな。私自身より知らない誰かさん達が頑張ってくれた感じ。ありがたいよね。...自殺の事?聞きたい?私的にもあれが一番緊張したし頑張ったからあなたに聞いてほしいんだけど、じゃあ話すね!まず最初に、あれは自殺じゃないよ。あいつ学校の屋上から飛び降りたでしょ。あれ飛び降りじゃないの。屋上ってさ、立ち入り禁止になってたけど鍵が壊れてるから思いっきり扉を押したら開けられるんだ。それでね、一箇所柵がグラグラになってたんだよね。体重が軽い女子でももたれかかったら折れちゃうくらい。あの日、学校でね、あいつにSNSで嫌がらせしてるやつが誰か分かったから教えるって言ったの。そうしたらあいつ馬鹿だから信じ込んでさ!今日の放課後、屋上に来てほしいって言ったら二つ返事で頷いたの。私が教えたって言ったら何されるか分からないしすごく怖いんだけどあなたの事助けたいから教えるって。その代わり誰にも言わずに屋上に来てねって。扉の事、知ってるのほとんどいないからさ、扉を押したら開くよって教えて、先に待ってるから絶対に来てねって伝えたの。それで屋上に呼び出したらあとはあの壊れかけの柵のところに誘導して押しただけ。あいつはバランス崩して柵にもたれかかってそのまま落ちたよ。学校もなんで立ち入り禁止なのに屋上や周辺に監視カメラつけないんだろうね。私が屋上にいたからあいつが一人で落ちたってみんな思うよね。遺書?あぁ、あれも私が書いたんだ!筆跡真似するのすごく大変だったんだよ!何ヶ月もかかっちゃった!もう少し早く筆跡を真似できるようになってたらもっと早くあなたを解放してあげられたのに...本当にごめんなさい...。え、なんでこんなことしたのかって?えっと...それは...。あのね、私、あなたの事が好きなの。その、恋愛的な意味で。...ごめん。引いた?おかしいよね、私もあなたも女の子なのに。でも私、あなたのことが大好きなの。好きになっちゃったの...。でもね、こうやって伝える勇気がなかったから、伝えなくてもあなたをいじめてたあいつを消せば、あなたの特別にはなれるかなって。だって私、あなたを守ったんだよ!ねぇ!嬉しい?嬉しいよね?...なんでそんな顔するの?そんな顔しないでよ。全部あなたのためにやったのよ?...あ。もしかしていじめのきっかけ作ったこと、怒ってる?...え?あ、気付いてなかったんだ。うわー、言わなきゃ良かった。実はさ、あなたがあいつを嫌ってるって噂広めたの、私なんだ。あいつリーダー気取ってたからそういうの一番嫌がるでしょ。思った通りすぐにあなたをいじめだしてさ。本当に単純。馬鹿。大嫌い。...じゃなくて!ごめんね!いじめ、私のせいでもあるの。ごめんなさい。本当にごめんなさい。...でも、そうしたら私だけ見てくれるでしょう。周りのみんながあなたを嫌っても、私はあなたの事、大好きだから。...この気持ち、誰にも言うつもりはなかったの。だけど言っちゃったな。よりにもよって本人に。はぁ...恥ずかしい。でもどれだけあなたのこと好きか、分かってくれたよね。いじめのきっかけ作っちゃったのは本当に反省してるけど、謝って許されることじゃないよね。だけど本当にごめんなさい。...あいつに対して私がやった事、警察に言う?うん、いいよ。どうせ両思いになれるなんて思ってなかったし。え、どういうことかって?だってさ、これであなたは私の事、一生忘れないでしょう?忘れたくても忘れられないでしょう?だから警察に捕まるとか、犯罪者になるとか、どうでもいいの。だって。


「私、あなたの特別になれたよね?」

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