第166話 旅の終わり

あめちゃんと楽しく会話していると、

1時間ほどのバスの旅はすぐに終わってしまった


旅の出発地点である駅前ロータリーにバスが停車し、運転手さんがドアを開けてくれる


前の人から順番に降りていき、

最後にオレとあめちゃんが一緒にバスを降りる


出口には、VTuber娘3人が待ち構えていた


みんな何か言いたげな顔をしていた


帰りのバスの席をあめちゃんが勝手に決めたことを怒っているのだろう


「そうやっていっつもカリカリしてるから、パイセンに怖がられるんすよ」


「むっ、、」

「こいつ、、」


3人が口を開く前にあめちゃんが先制攻撃を放つ


ひまちゃんと こと様はその一言で口を閉じる


「このクソガキ、、うちはあんたと課長をお仕置きする気満々やで」


「Kanonちゃん?なんで私まで、、」


近くにいた結木課長が冷や汗を流していた


「課長があめちゃんに加担してたのは明白やからです」


「ははは、そんなことしてないよ?」


「かのちん、結木っちはわたしの協力者です」


「あめちゃん!?

やめておくれよ〜、Kanonちゃん怖いんだよ?

明日からも会社で会うんだよ〜」


「なんですか?毎日会ってうんざりってことですか?

最悪の上司ですね、モラハラで訴えようかな」


「そんなこと言ってないよ!

私はKanonちゃんが大好きさ!ほら!抱きしめてもいいよ!」


ばっと腕を広げる結木課長


「、、キモっ、、」


「ひどい!!」


「あー、、課長、そろそろ締めのご挨拶を、、」


オレたちの漫才を他の皆さんが笑いながら眺めていた


このやり取りが終わらないと、みんな解散できない


「あ!そうだよね!

みなさん!失礼しました!

えー!この度は!弊社と御社の交流を深めるため!

2泊3日の旅にお付き合いいただき!誠にありがとうございました!

この旅を通して、皆様とはより強固な絆を結べたかと思います!

弊社は今後とも!御社とお付き合いをさせていただきたいと思っておりますので!

何卒!

何卒よろしくお願い致します!

簡単な挨拶になりましたが、この挨拶をもって!解散とさせていただきたいと思います!

この度はありがとうございました!!」


パチパチパチパチ


駅前ということもあり、みんなで控えめな拍手を課長におくり、

それぞれが帰路についていった


二宮さんと佐々木さんにはしっかり挨拶をして、

温泉突撃マゾ女にはなるべく近づかないように見送ることができた


しかし、帰り際、ジッとオレのことを見てたのはマジで怖かった

ホント、誰かあの女の暴走をなんとかしてほしい、、


課長も のんちゃんに怯えてそそくさと帰っていった


ディメコネVTuberの3人娘は残ろうとしていたが、

いつまでも動かないと佐々木さんに半ギレされて、大人しく帰ることになった


オレはみんなに手を振る


つまり、オレはのんちゃんと2人っきりになった


「今からでもボコボコにしよかぁ」


2人っきりになった途端、そんなことを言い出す暴力娘


「あーこわいこわい」


「随分余裕そうやなぁ?

ことちゃんが決めた罰がなにか知らんからかなぁ?」


「え?罰って決まったの?」


「決まったでぇ、それはもうすごい罰や」


「ど、どんな、、」


「それはまだ秘密や」


「じゃ、じゃあ、いつ執行されるの?」


「それも秘密や」


「こわいよ!いつまで怯えればいいのさ!」


「んー、それもある意味罰になるんやない?」


「ある意味もなにもそのままの意味だよ!

オレは毎日怯えながら過ごせばいいわけ!?」


「ま、その方が反省するやろ、ほなな〜」


ひらひらと手を振りながら駅の方に歩いて行くのんちゃん


「、、え?放置?

ちょっと!のんちゃん!!」


オレはその後ろ姿を追いかけながら、

罰がなんなのか必死に聞き出そうとするのだった

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バーチャルに恋する~推しVTuberと一般リスナーのオレがラブコメする話~ 真心 糸 @magocoro_ito

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