ナッカラ

箱庭師

第0話 あらすじ

はじめまして。

海老沼で一番の美少女、なっちゃんです。

ある人に、無理やり言わされています。

それはさておき、ここ海老沼は、スカイツリーでお馴染みの東京、墨田区にあります。


私には、両親がいません。

でも……。

相撲部屋の娘、波瑠。

米屋の娘、亜希子。

三人は同じ年で姉妹同然に育ちました。


海老沼には、商店街があります。

私の実家である定食屋も、そこにあります。

八百屋さんは、祖父の友達で店のお金をネコババして、いつもおかみさんに怒られています。

ここだけの話ですが、そのおかみさんと私たちは、ある闇の取引をしています……。

あっ!

誰か来たようです……。

診療所の先生は、いつも一升瓶を片手に街中を闊歩しています。

そりゃ周りから、アル中だの、ヤブ医者だのって言われるわ。

散髪屋の主人は、野球バカで河川敷で子供達相手に教えています。

立派なリーゼントが持ち味です。

あのリーゼント……。

女の勘がささやきます。

絶対に何かある。

必ず謎を突き止めてやります。


私には、両親がいません。

高校三年生になりました。

米屋のおじさんは、亜希子の父親です。まったく話が噛み合いません。

荒川親方は、波瑠の父親で、いつも泣いています。

いや、泣かされてるんだっけ?

で、女将さんは、バケモノ……、いや、とても面倒見が良く、まあ、ね……。


今年、はじめて、砂かぶりで大相撲を観戦しました。

お台場の花火大会にも行きました。

海辺でちびっ子相撲大会の手伝いをしました。


私には、両親がいません。

波瑠も亜希子も、そして私も、将来に思いを巡らせるとき……。

早いものです……。


私には、両親がいません。

家族は、祖母がいます。

それと……。

なんていうのかなぁ……。

ロジャー、がいます。

アメリカからやって来た、黒人です。

彼は、父の仕事仲間で……。

うん。

なぜだかわからないけれど、一緒に住んでいます。

父親でもないし……、まあ、ロジャーはロジャーです。


私には、両親がいません……。

おっと、忘れるところだった。

冒頭で私に、恥ずかしいことを言わせた人から伝言です。


「作中に登場する小学生が、不適切な発言をしますが、もちろん特定の人種を差別する意図はありません。あくまでも物語の演出であることをご了承ください」


では……。

下町のドタバタ劇!

「ナッカラ」開幕です!


あっ今、一時限目のチャイムが鳴りました。

みなさん、海老沼に遊びに来てください!


 令和の吉日に、海老沼にて

           佐伯夏子

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ナッカラ 箱庭師 @hakoniwashi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ