ホムンクルスを売る魔女 ~孤独を嫌う者~

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 人間をあげよう。


 君に便利な人間をあげよう。


 なんでもいう事をきいてくれるよ。


 人間を作っているんだ。 


 余っているから。


 格安で売ろうか。







 ある日、怪しげな老婆の魔女が目の前に現れた。


 そばに誰もいなかった私は、ほしいものを売っているその魔女の言葉に耳を傾けた。


 無理に売りつけようとしないその言葉にのせられて、私は人間を買った。


 小銭三枚分の値段。


 それが命の値段だった。


 売られてきた人間は、従順だった。


 こちらに逆らわない。


 文句を言わない。


 余計な事はしない。


 私を一人にはしない。


 意思のある生き物じゃないけれど満足だった。


 ずっとそばにいてくれるなら。


 ただ離れないというだけで、救われる。


 偽物でもかまわない。


 心が無くても。







 孤独が怖い。


 私は不死だ。


 死なない。


 人に興味がない。


 完全に一人きりの存在だった。


 誰かと一緒にいたいと思わないのに。


 けれど孤独が怖い。


 矛盾していた。


 だから人ではない誰かに傍にいてほしいと思った。


 けれど、普通ではない人間が見つかったとしても、人間は不死ではないから。


 長くは生きられない。


 だから、ずっとそばにいてくれる存在が、死なない必要だった。


 いつか死ねるその時まで。


 いつか死ぬ方法を探し出すその時まで。


 一人で生きたくはないから。


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