九月、雨の短歌集

長雨 藤吉

九月、雨の短歌集

秋雨（あきさめ）の降る日の網戸のその向こう

「宿題なんてやるわけないさ」


見えもせぬ雲の上の星を眺める

秋雨（しゅうう）の森の目覚めない君


昨日まであなたの声が風物詩

排水溝に沈んだあなた


窓枠に嵌ったすりガラスのくもり

夏が終わった　水滴数多


稲妻を　写真に撮ろう　苦戦する

タバコと君と　ずぶ濡れの僕


雨の夜　ヤギの悪魔が　やってくる

南の空の　星はいずこへ


清涼と九月、霧雨。

モノローグ

「いつか器に水満つるかな」


暗い部屋　戌月の夜　雨の色

右で君の　左手握る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

九月、雨の短歌集 長雨 藤吉 @nagasametoukichi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

App Storeからカクヨムアプリをダウンロード

Google Playでカクヨムアプリを手に入れよう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ