第三話 出発

「お、そっちもバイクか」

一晩明け、荷造りを終えた私達は、出発することになった。


ブロロロロッ

廃墟になり響く原付きのウナリゴエは昨日より清々しい音がしているような気がする。昨日の夜は、ミクと沢山話した。でも、私の生きる目標は見つからなかったから、今のところ、

「生きる目標を見つけるのが目標」ということにしておいた。ミクはあまり腑に落ちないようだけど。

「で?どこへ向かうの?」

「ミクの行きたいところで」

「今までどうやって、旅してたんだ?」

「・・・わかんない」

「まあいいや。とりあえず、スカイなんちゃらの街に進む方向で」

「その街ってどっちの方角?」

「・・・わかんないや」

「とりあえず進むか」

「ほい」

二人になっても、旅の内容は大して変わらない。ただ進む。ただただ進むだけ。いつしか会話も詰まっていた。それもそうだ。たとえ一夜を過ごした仲だとしても、ほぼ初対面のようなものだ。

「エナってさ、今までひとりで何やってたの?」

少し考えてみる。

「何やってたんだろうね。私」

「・・・わたしはさ、ちょっときつかったんだよね。一人でいるの」

「え」

「だから、正直嬉しかったよ。わたしを見つけてくれて」

なんだか不思議な気分になった。

「まぁーこんな暗い話しても何にもなんないし、気軽に行こーぜー」

いつ、終るか分からないし・・・とでも言いたげなミクの目はどこを見ているのかは分からなかったけど。明るいものを見ている、目ではないと感じた。


昨日降っていた雪はもう降っていなかったが、相当積もっていた。

「あんまり言いたくなかったんだけどさ」

「?」

「ちょっとーね。服がね。ダサいかなって」

「ゔ」

昨日の自分に言ってやりたい。服は大事だ。

「そこら辺で探してみよーぜー」

本当はあんまり良くないことだと思うけど、生きている服とか、食べ物とかを探して仕方なく貰っわせてもらうしかないのだ。


大きな建物に入った。色んなお店が入っているタイプの建物だろうか。まず一階を見回って残っている食料を集め、二階もちょっと見て、よくわからない形の階段を上る。そこには、ところどころに服がある階に着いた。

「おーまあまあ残ってるね」

「食料はすくなかったけど、服はまだあるね。まあ、食料のほうが大切か」

少し見て回る

「どうよ?いい服あった?」

「服とかわかんない」

「なるほど。じゃあちょっと待ってて」

ちょっと待ってみた。

「これどうよ?着てみ」


着てみた。

ミクが持ってきた服は白い厚そうな生地で暖かそうだ。そして胸元に外国語が書いてある。ちょっと自分には大きいような気がするが、センスは良いと思う。ただ、問題なのは持ってきたズボンの方だ。

「短くない?」

「そう?スタイルいいから、こんぐらいがいいかと」

「でも流石にこれで、原付きはちょっと寒くない?」

「原付き?」

「あーバイクバイク」

「それもそっか」

「後、逆に服は大きくない?」

「いや、こんなもんがかわいいんだよ」

ちょっと変な気持ちになった。


結構ズボンはもうちょっと長い物に変えた。

他の服も、もう少し探しありがたく貰った。

そして、私達はこの街後にした。多分。

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とりあえず世界が滅亡する(おわる)まで しあん @sian202

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