第二話 太陽
大粒の涙が溢れる。
「ど、どうしたの!?私なんか良くないこと言った!?」
頭を横に振る。
「じゃあどうして・・・」
「少し落ち着いた?」
貰ったお湯をすする。
「・・・うん」
少女は驚いたような顔をする。
「へー。意外とかわいい声なんだね。もっとクールな感じかと」
いや
「初対面で泣いてる時点でクールじゃないんじゃ・・・」
「それもそっか」
自分で言っといてなんだか、納得されても困る。
「歳と名前は?」
なぜ歳が先なのかは、キニナルが悪い人には見えない。
「15。多分。名前はエナ」
「っしゃ勝った」
「?」
「いや、なんでもない、なんでもない。私はミク。上の名前は、分かんないや」
多分、名字ことを言っているのだろう。
「一人で暇でしょ?一緒に行こうよ!よろしくね!」
その笑顔を見て、また泣きそうになったが、ぐっとこらえる。
「よ、よろしく」
そんなことで、私たち2人の滅亡しかけている地球での生活が始まった。
「そうと決まればさっそく準備をしよー」
「お、おー?」
テンションがよくわからないが、これから、2人で行けるのは嬉しい。ちょうど一人にうんざりしていたところだったから。
「そこら辺の荷物まとめてくんない?」
「うん」
人の荷物をまとめるなんてどうしたら良いんだろう。初めてだ。とりあえず、錯乱してい
るものを拾うか。
「?なんだこれ」
「ん?あーそれはスケッチブックだよ。そんなところにあったのか」
不思議そうな、その横顔はとても綺麗だった。
ハッとなって口を開ける。
「でもなんで?」
「暇だったから。なんか気に入った景色を絵にしたら、結構ハマっちゃってね。それ以来『素敵な景色を絵に描く』って言うのが人生の目標?みたいになっててね」
パラパラッとベージヲめくると、次々に美しい景色が出てくる。
「絵、上手いね」
「いやーそんなわたしなんて、まだまだだけど、褒めてくれたら嬉しいもんだな」
こっちを見てくる。ちょっとめんどくさい人なのかもしれない。
「いつか、あのバカ高いやつ。なんだっけ、この国で一番高い建物」
「あー。スカイなんとか」
「それそれ。それの上からの景色を絵に描きたいんだよね。結構遠いらしいけど」
生きる目標がしっかりあるって偉いと思った。
「で?」
少しの沈黙の後
「エナはないの?生きる目標とか目的とか」
うーん。
「・・・ない」
なんだか、空気が重くなった。
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