灯命

タムラ ユウイチロウ

トウメイ

黒ずんだ四角いタイル

消えた命を知るたび

同じ場所に立っていたなら

もっといい方法が

思いつく限り並べ立てて

腹だけが減っていく


灯火が立つ

私たちを包んで

忘れまい、忘れまいと

掴み、掬えば

ぼやけた視界に魂が映るような

そんな気がして


幼い頃絵馬に書いた願いは叶わず

奪われた過去に爪を立てている

憎み、恨めば

変わると信じるけど

無残に、無様に風化していく


尽きた命を

忘れまい、忘れまいと

今を結ぶけど


大人になった今も

答えは返らず

空に叫ぶばかり

残された私たちは

ただ続く世界に

呆然と

横たわっているだけで


灯火が立つ

私たちを包む

忘れまい、忘れまいと

掴み、掬いとり

間違いは繰り返さないと

小さな灯りを

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

灯命 タムラ ユウイチロウ @you_monodiary

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ