第5話

 友達の中でも唯一の理解者が最後の砦だった。

 その子は私と同じように転校生君が苦手だった。私と気が合い、三人の友人たちがいなくなった今、その子と一緒に遊ぶようになった。その子は家庭が厳しくゲームをできる環境じゃなかった。バイトも禁じられるほど厳しく、私は少なからずの貯金からその子と一緒に遊べるゲームを探して遊ぶことにしていた。

 その子は演技力が高くゲームキャラクターを忠実に再現し演技することから将来そっちの方向へ行くのかと尋ねると本人は「親には内緒でね。厳しいから」と内緒にしてくれと頼みつつ夢を語ってくれた。

 親の目を盗んで毎日こっそりと遊んでいた。その子は持ってくるゲームはマイナーなものが多く攻略法がほとんど出てきていないものばかりで、一度熱中すると寝る間を惜しんでまでクリアしないと落ち着かない人だった。

 その子と遊んでいるとあっという間に夜は過ぎ、朝を迎えてしまうので学校内でよく眠ってしまうことが原因で家でゲームが禁止になってしまった。


 それから二カ月後、その子と突然音信不通になった。その子の家庭もゲームに関しては厳しく私と同じで成績が落ちたことがきっかけで二週間前からゲームが禁止にされていた。ゲームが解禁になったらなにをやろうかと親の目を盗んで連絡を取り合っていたのだが悲劇は突然降りかかった。

 急に私を無視するようになり、連絡先もブロックされてしまった。理由はわからずその子に確認しようも答えてはくれないので、私はどうしたらいいのかと悩み悩み、結局成績もさらに落ちたことで家庭教師を付けさせられるようになりゲーム時間がさらに減ってしまった。


 その子になにか傷つけてしまったのではないかと悩み、その子に謝ろうと時間を作った。だけど、その子からは返事はなく、ただ無視だけが続いた。


 転校生君の周りには私の友達が囲み笑っていた。なにを話しているのかわからないが、私はその場所にいてはいけないと思うようになり、いつしか学校へ行けなくなった。気づいたときにはもうみんな卒業していて、私の周りにいた友達とは疎遠になってしまっていた。


 楽しかった学校生活は、受験勉強以外なにも残らなかった。

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転校生との境目 黒白 黎 @KurosihiroRei

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