第4話

 私の友達の中でいつも笑いかけ喜ばせてくれる人がいた。そのことは転校生君が来る一か月前に仲良くなった。その子は絵が上手く、プロにも認められるほどその才能は輝かしいものだった。私はその子の絵にひかれて一枚描いてほしいと頼んだ。描いてもらった絵は私の好みで、部屋に飾るほどお気に入りだった。

 転校生君が来て十一日後、その日は転校生君と一緒に倉庫の掃除を任されていた。本当は一緒にやりたくなかったけど、絵が上手い友達が「一緒にやろう」って誘ってくれたから嫌なことも一旦置いといて一緒に作業することにした。その子がやりたいことや将来の夢の話で盛り上がり、ようやく作業が終わった時こう聞かれた。

「久しぶりに描いてあげる。希望があったらいってね」

 私はその子が家庭の事情で絵を描くことが少なくなったと聞いたので、私はせっかくだからと希望をこめながらその子にお願いした。もちろん転校生君も希望を交えてお願いした。


 それから一カ月後、転校生君は大喜びだった。その子にお願いしていた絵を描いてもらったのだ。転校生君の絵はとても素晴らしく、私も早く完成品が見たいと楽しみで「完成が楽しみだ」とすっごく楽しみにしていた。

 さらにひと月経った。その子から絵ができたという話が来ていない。私は不安になりさりげなくその子に聞いて見た。だけど、返事は帰ってこない。それどころか無視するようになった。

 私はなにか悪いことをしてしまったのではないだろうかと、思い悩みしばらくの間、その子と合わないことにした。きっと一人だけの時間が欲しいのかもしれないと思ったからだ。


 さらにひと月待った。けれど、私は衝撃の事実を知り、震えてしまった。

 もともと私の絵は引き受けていなかったのだ。連絡先もブロックされており、そもそもあの日にお願いした内容は転校生君しか引き受けていなかった。私はショックのあまり、涙をこらえきれず泣いてしまった。ずっと楽しみにしていたのに、ずっと描いてきてくれるのを楽しみにしていたのに…その子は私のことなんてなにひとつ覚えていなかったのだ。

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