第3話
転校生君がやってきて五日後。最初の友人と会わなくなって二日後の話だ。
口癖が「そうですよ」が特徴的な友人だ。そのことはゲームと気が合うことからよく二人で遊んでいた。その子は面白く優しく、なによりも褒め上手でたとえ仲が悪くなりそうな雰囲気のなかでも中正してくれる場の雰囲気を大切にする人だった。その子と異変があったのはすぐのことだった。
私がたまたま転校生君から嫌味を言われて反論したときだった。
「喧嘩はだめですよ」と輪に入って止めに入った。
「みんな仲良くしなくちゃだめですよ」と、その子に言われて私はちょっとしたことで怒ってしまったことを反省して転校生君に最初に謝った。転校生君は詫びれる様子はなく「つまらない人だな」と言われ、私は傷つきながらも頭を下げ続けた。
そのあと、中正してくれたその人にお礼を言い、面白いゲームがあるからと誘った。その子は二つ返事でOKを出した。
異変を感じたのは、翌日のことだった。
いつものように遊ぶ場所を決めてゲームをするためにその子に連絡を送った。
「いま忙しいから後でもいいですか」
珍しいと思った。いつもなら断ることはほとんどしない。断るときは必ず一時間前には伝えてくれる。おかしいなと思いながらこの日はひとりでゲームをした。
次の日、その子は転校生君と一緒にゲームの話をしているのを耳にした。そして聞いてしまった。
「また誘ってくださいね」
「いつでも力になるから」
話していた内容は昨日、私が誘ったゲームだった。その子は私との約束を破り、転校生君といち早く遊んでいたのだ。私はショックのあまり身体がぐらついた。
立て続けに友達がいなくなっていく嫌な感覚に襲われたからだ。
深く考えないようにと、友人たちと接しながら転校生君を嫌わないように振舞いながら過ごした。
それから一カ月後、私の周りにいた友人たちは転校生君と一緒に遊ぶようになっていた。私との約束は破り私を悪く言うようになった。陰口をたたかれているのではないかと思うようになった。友達に話すことが怖くなり次第に距離が開けていき、いつの間にか私の周りにいた友達は転校生君と放課後帰っていく姿をただ背中を眺めるようになっていた。
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