第2話
転校生が生涯初めて転校してきた。同性別の転校生君。その人は人辺りは悪いのだが人を呼び込む才能を持っており、私にはない人を呼び込むことができる天性の才能があった。転校生君は転校する前は彼女がいたらしいがなんらかで別れてしまったらしい。
同情する気持ちはない。私は彼氏も彼女も持ったことがないからだ。
転校生君が同じクラスになって異変を感じ始めたのは二日後だった。
いつも遊んでいたはずの友達が待ち合わせ場所に現れなかったのだ。メールで何度も連絡を入れたが一向に既読されない。風邪が個人の事情で来れなくなったのかと思い、18時まであと2時間だが待つことにした。きっと連絡ができない事情があるのだろうと思ったからだ。その子は普段から遅刻する人で、よく遅れては連絡を入れてくれる。待ち合わせ場所に遅れてくるが決して悪い人ではなく私たちを楽しませようといろいろとサプライズを用意してくれる優しくて面白い人だった。
腕時計を確認して18時を過ぎていた。日は沈み外灯が真っ暗な道を照らしだしている。私は連絡がない友人を心配しつつ家に帰ることにした。明日、学校で聞いて見よう。きっと連絡できない用事ができたんだと。
翌日、私は信じられないことを耳にした。
私の約束をすっぽかして転校生君とその友人たちとゲームをしていたのだ。私に朝一謝ってくれたが、その子の目は私にではなく転校生君に向けられていることに気づき、微かに心が傷ついた。
それから連絡は既読にならないし、私との約束は守らなくなった。その子の話題は学校のことか転校生君のことでいっぱいだ。私は転校生君のことが好きになれないから自然と距離を空けていたのだが、それが友人たちとの距離を空けていることを知ったのは不登校になってみんなと卒業した後のことだ。
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