第14話 最終回
大学生の夏休みは暇だ。追試に引っかからなければ、2か月間何もすることがない。
夏休み前半は自由な時間を満喫していたが、後半になると暇を持て余してしまう。
部屋で海外ドラマをみているとスマホからメッセージが届いた着信音がした。
直人からの遊ばないかとお誘いだった。
夏休みに入ってすぐにこちらから遊びに誘ったときは、梅野さんとのデートがあるといわれ振られてしまっていたのに、都合のいい奴と悪態をつきたかったが暇を持て余していたのも事実なので、遊びに行くことにした。
外に出るとうんざりするほどの暑さだった。
9月に入ったにも関わらず暑さはおさまることを知らない。
一歩登るごとにギシギシときしむ音が鳴るアパートの外階段をのぼりながら、懐かしさを覚えた。
「久しぶり」
呼び鈴を鳴らすと、直人がにこやかな笑顔で出迎えてくれた。
「アイス買ってきたよ。あとで食べよ。冷凍庫いれておいて」
ボクは来る途中で買ってきたアイスの入ったビニール袋をぞんざいに直人に渡した。
「今日は何からする?格ゲー、レース?それとも野球?」
冷蔵庫にアイスをしまいながら、直人が聞いてきた。
「じゃ、格ゲーかな」
「OK」
直人はボクにゲームのコントローラーを渡すと、ソフトをセットし始めた。
「ところで、梅野さんは良いの?」
ゲームをしながら、意地悪っぽく聞いてみた。
「別れた」
「えっ!」
あまりの驚きにコントローラーを落としかけた。
「なんで?あんなに楽しそうにしてたのに?」
ゲームを一時中断して、問い詰めた。
「まあ、いろいろあってね。お昼ご飯何でもいいって言ってた割に、ラーメン屋に入ると不機嫌になったり、僕がアイシャドウの色を変えたのに気付かないだけでも不機嫌になるしさ、マジで女心はわからない。恋愛に憧れてたけど僕には無理だ」
「それは、直人が悪い」
「そうかも。でも、まあいいや。蓮とゲームしているのが一番いい」
「奇遇だね。ボクもそうだ」
二人顔を見合わせて笑いあった。
幼馴染と再会したら、男の娘になっていた件 葉っぱふみフミ @humihumi1234
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