第7話 僕はこの世界でも....

この学校に入学して一年が経過した。


学校にはだいぶ慣れてき体力もつき今では10kmくらいなら余裕とまでは行かないが

普通に走れるくらいにはなった。


アイとは稀に話すくらいにはなれた。どうやら僕の黒髪が相当気になるようだ。いつもガン見してくる。それが少し恥ずかしかったりするのだが....。彼女には関係ない事だ。


そうして今日は少し嬉しい事がある。一年経った事で武器の扱いを理解してきた部分があるので一人一本訓練用の魔剣を貰える。その魔剣は常時携帯を許可されており、自主練を許可されるようになる。訓練用なので魔法でもない限り相手を切ることは出来ないが腰に剣をかける、これは男のロマンと言っていいだろう。


授業の方も変わり始め剣の練習では本物の剣を使う事となった。一歩間違えれば腕がお釈迦だ。魔法出治るので問題ないがその痛みがトラウマとなるものがで始める程だ。やはり人は痛みには弱いものだ。僕はその気持ちがよくわかる。


魔法の授業も模擬戦をすることが増えてきた。


そうして今ユージとハルが戦おうとしている。


「ハル行くぜ」とユージ。


「いつでも来て」と返すハル。


障害物が至る所にある模擬戦場だ。


そうしてユージが一つの障害物から飛び出そうとした瞬間。


───シュン。ユージが外に出した足の目の前に魔力矢が刺さった。


「うわ!危ねぇ...」と少し焦るユージ。


こう見えてお互いの魔法を知るのが今初めてだったりする。


ハルの魔法は何だ。魔力矢に何か魔法を仕込んだ感じでは無い。


ちなみに魔力矢とは弓使いが使う矢の事で自身の魔力を集め矢の形にし飛ばすそれが

弓の使い方だ。長さや形を決められ空気抵抗がほぼ皆無なので狙った方へと真っ直ぐ飛ぶ。ほぼといったのは魔法で起こした風には影響されるからだ。


ハルの放った矢は白、無色のやつまり魔力の塊。魔法に変換し飛ばすと何らかの色に変わる。それを魔法矢とも呼ぶがそれは今はいい。


ユージは剣使いなので近づかなければ話しにならない....がどうやらハルはユージの位置がわかっているらしい。いつでも打てる状態になっていた。


するとユージは一瞬障害物から足を出した。


それに合わせ矢を放つハル。


───するとユージが一気に距離を詰め出した。


弓使いの弱点、それは次々に打つことが出来ないこと。魔力操作が上手ければそれをカバー出来るがほとんどの人はそうもいかない。一発打ったら数秒のタイムラグがある。

ユージはそれに合わせ距離を詰め始めたのだ。


「ハルお前、障害物全部透けて見えてんだろ。動く動作を見せた瞬間放って来たのでわかったぞ」


どうやら当たりのようだハルは図星の顔をした。


「全くユージくん感が良いね。でも....」


ハルは弓を引く。


「ちょっと欲張り過ぎだよ」


基本魔力を防ぐ事は出来ない。魔力の塊を跳ね返えせたとしても次を一発を放つには十分な時間だ。


───ユージに向かって白色の矢が放たれる。


これはユージの負けだな。僕はそう思った。


がまさかのユージは


「おっらぁ」


魔力矢に向けて剣を振り下ろした。


「嘘っ...」


目の前で起きた驚きの状況にハルは驚きを隠せない。


なぜならユージが魔力矢を真っ二つに切ったのだ。


───ユージは一気に距離を詰める。


「ハルよそ見してんじゃねぇぞ」


ハルは反応が遅れた。ユージはもう目の前まで来ていた。


「───くっ」


ハルは焦り未完成の状態で魔力矢を放つ。当然スピードも威力も無いのでユージは簡単に壊す。


───ユージはハルに追いつき首スレスレに剣を振り上げた。


ハルは冷や汗をかく。


「はぁ僕の負けだよユージくん」


ハルがそう言いユージは剣を下ろした。


「ユージくん今のは魔法矢を切ってたけどあれは何かな?」


それは僕も疑問に思った。いくら脳筋のゴリラでも魔力矢は力技でどうにかできるものでは無い。


「あれは俺の魔法。相手の魔力や魔法に触れられるんだ。だから俺は物質として魔法を切ることができる」


へぇーそんな魔法もあるんだ....。初見殺しすぎる魔法だと思った。


「ハルは少し警戒しなさすぎだ。確かに奇襲や索敵は向いているが戦略が微妙だな。相手にどういう魔法かばれやすぜ」


「確かにそうだね。見直すよ」


「おう」


模擬戦はこういう戦闘センスが見えてくるのでなかなか見応えがあるし勉強になる。


「そう言うユージくんと完璧では無いわよ」


そう言いながら近づいてきたのはエリス教官だ。


「ユージくんの魔法は相手魔法を無効化するわけじゃ無いのもしハルくんの魔力矢が魔法矢だとして相手を追尾するとかだったらあの突っ込みは悪手よ」


「どうしてだ?」と首を傾げるユージ。


「追尾系の魔法は軌道が決まってない。だから切って真っ二つにしてもその二つが自分を襲ってくる。当然魔法矢から走っても逃げるなんて不可能。切れば切るほど自分で敵を増やす事になるのよ」


でもユージは....


「俺はちゃんと魔法が分かってから突っ込んだぜ」


そうだユージはちゃんと魔法を分かってから攻めた。


「あれたまたまじゃない。一発放たれたらああするつもりだったでしょ」


エリスがそう言うとユージはギグっとした。


「いや....そんわけねぇよ」と目を泳がせて言うユージ。


どうやら図星みたいだ。ユージはうそをつくのが絶望的に下手だ。


「それとハルくん魔力矢を白のままにするとは良くないわよ」


エリスはハルにそう言った。


「でも僕の魔法は使えませんけど....」首を傾げるハル。


「だとしてもよ。白色だと魔法がこもってないのがバレバレだから相手に与えられるプレッシャーは少ないの。逆に魔法矢にして放てば相手は迂闊に近づけなくなる。戦闘で勝つのはどれだけ相手を騙せるか、自分の手札を悟られないかよ」


「なるほどエリス教官ありがとうございます」


ハルはエリスに感謝した。


エリス教官はほんと教えるのが上手いんだよなぁ。僕つくづくそう思う。


授業が終わり僕は寮へと戻っていると僕の前に三人の人が行手を阻んだ。


うわっ、ついに来やがったコイツ。


「よぉ久しぶりだなシン」


赤髪のイカれたやつそう、ウルフだ。


「ウルフくんどうかした?」


入学式から特に何もしてこなかったのにどうして今更.....。


「ついて来い」僕を睨みつけながらそう言うウルフ。


これは逃げられなさそうだ。すごく嫌な予感がついていく事にした。


そうして学校の裏、誰も通らなさそうなところに着いた。


「ウ、ウルフくん僕に何か用事でも.....?」


するとウルフは「ここでいいか」と呟き足を止める。


「え、ウルフくんどうしたの?」


僕は何をされてもいいように全身に力を入れた。


「ああ、そうだな....」


───するとウルフは剣を抜きもんスピードで襲いかかってきた。


僕は感一発それを剣で受け止めた。


「あの日のやり返しだよぉ」と狂気に満ちた鋭い眼光を僕に向けニタニタと不気味な笑みを浮かべるウルフ。


やっぱり警戒しててよかった.....。


ウルフの剣と僕の剣が撃ち合いになる。


コイツ、本当に何なんだ、剣筋も足運びもめちゃくちゃまるで自分で取得したかのようだ。。スピードと力だけで剣はほとんど振り回しているだけなのにその二つが飛び抜けていて守るので精一杯だ。


そうして剣を振るいながらウルフは口を開ける。


「どうした、どうした!真面目に剣振ってそこそこ強くなったんじゃねぇのか」


そうやって挑発してくるウルフ。


「確かに君ほどめちゃくちゃな剣ではない自信はあるかな」


「そうかよ」


そう言いウルフは不気味な笑みを見せ。剣を振り上げた。


───っ!!来る。


僕は剣を構える。


ウルフは剣を振り遅した.....


えっ......。


その剣は僕に当たる事なく地面へと刺さった。


チャンス......いや待てよ....これはフェイント。


地面に刺さった剣をウルフはモンスピードで振り上げる。


ガードが遅れた僕は剣を弾かれた。


「おっらぁ」


その隙を逃さずウルフは僕の腹に蹴りを入れてきた。


「グフゥ....」


もろに食らってしまい僕は倒れ込んだ。


そんな僕に上から睨みつけてくるウルフ。


この時を待っていたと言わんばかりの笑みを浮かべ、剣で僕を殴ってきた。

訓練用なので剣先は尖っておらず切れることは無いが死ぬほど痛い。頭に直撃すれば普通に死ぬレベルだ。ウルフはそれを分かっているのか急所をさけ振るってくる。


バギッ


「───っぐ」骨が折れたような感覚がした。それでもウルフはしばらくの間剣を止めなかった。


「今日はこんなもんで許してやるよ、じゃ明日も楽しみにしておけよ」


全身が痛む、前世のいじめとは比べ物にならない痛み....結局同じなのか僕はどの世界にいても....。


僕は自分の剣を握った。治癒魔法が発動し瞬く間に傷をなおしていく。痛みが引き傷一つもう残っていない。それでも心の中にはたくさんの感情がひしめき合った。その全てがマイナスの感情だった。


その日寮へ戻った僕は疲れたせいかすぐに眠ってしまった.....。


その時ある夢をした....前世の自分の夢だ。



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親愛転生 シュミ @syumi152

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