妹が突然俺に興味津々になった

空野そら

第一章【プロローグ】

「おにーちゃん、ねりねはおにーちゃんに興味があります」

「うん、急にどうした......今まで全然話してくれなかったのに」

「ほれはひひの......ねりねはおにーちゃんがいつもしてることに興味があるの」

「は、はあ......?」


 突然俺に意味の分からない言葉を飛ばしてきたのは俺の妹、小理間こりま 練禰ねりねだった。

 本当に突然の事だったため頭での理解が追いつかず、さらに今までの練禰態度から急変したかのような発言で思考が一度停止してしまう。しかし何とか再稼働させ、質問をする。そして俺の質問に練禰が机の上に置かれている朝食を口にしてから答える。


「興味って、何についてだよ」

「ねりねは、おにーちゃんのお仕事に興味があるの」

「俺の仕事は高校生だぞ?」

「ちがう! いつもお家でしてるお仕事!」

「あ~そっちね、どうして急に」


 俺について興味があるのかと思っていたら少し違った。俺の仕事について興味があるらしい。とは言っても俺の職業なんてただの高校生、学生でしかない。なのでそう伝えるもそれも違ったらしい。


 普通の学生ならこれ以外の仕事で言えばアルバイトぐらいだろう、しかし俺は違う。じゃあ何をしているのか、それは......


「学生以外の仕事はアマチュア作家だぞ? そもそも仕事と言えるかどうかわからねぇよ」

「それでもいいのです!」

「急に話してくれたと思ったら意味わかんね」


 俺は本物のラノベ作家と比べてあまり誇れないものだと思っているアマチュア作家をしていた。学校と共に、所謂兼業作家というものだ。

 しかし、そんなアマチュア作家の俺に興味を示した練禰の好奇心が収まることを知らず、朝メシを食べ終わると俺の跡をつける。


 当然と言うべきなのか、練禰は俺の部屋にまでナチュラルに入ってくる。そんな練禰にますます頭が疑問で埋め尽くされてしまう。


 そんな疑問を思っていても何か行動を起こさなければなにも進まないため、俺はもう一度練禰に向けて口を開く。


「......はあ、別に見たいなら見てもいいけど、その前に一つ...いや聞きたいことがある」

「?」

「お前はなんで俺と話したがらなかったんだ?」


 直球に、そして素直な疑問を練禰にぶつける。すると練禰はもじもじと体を動かせながら何か口ごもってしまう。

 しかし覚悟を決めたのか目をこちらに向け、なんといえばいいのか、ガチっとした視線を俺に向ける。


「......練禰は————」

「ッ!?!?」


 練禰からの言葉を確実に耳をした俺は、一瞬耳を疑ったものの、疑いのない言葉だったため練禰の言葉に驚きを隠せなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹が突然俺に興味津々になった 空野そら @sorasorano

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ