第8話:開き直る
「
「おはよう……って、お兄ちゃん! どうしたの?」
妹の綾香が驚いている理由は解る。俺が自分の姿を隠すのを
今の俺は銀色の髪と
俺の行動が
「
俺の義理の母親で、
俺が本当の自分姿を隠すことに、静香も思うところがあったんだろう。何となく、理由は解る。
「母さん……俺は格好が変わっただけで。いつも通りだから。じゃあ、学校に行って来るよ」
「はい……いってらっしゃい!」
もう隠す必要はないから。俺はアリウス・ジルベルトの姿で登校する。
「ねえ、あのイケメン……ハーフ? 外国人? マジで、格好良いんだけど!」
「え……どこかのモデルか、タレント? ネットで検索しても、全然出てこないんだけど?」
電車の中。女子たちが囁いているのが、全部聞こえている。だけど俺はこういう反に慣れている。
俺は乙女ゲーム『恋愛魔法学院』。通称『
電車を降りて、学校に向かう途中。そして学校に着いてからも、女子たちから熱い視線を向て来る。
だけど見た目だけで反応するような奴に、興味ないからな。
「ねえ……あのイケメン、誰?」
「嘘……滅茶滅茶イケメンで、私のタイプなんだけど!」
「
クラスメイトの女子たちも、熱い視線を向けて来る。まあ、そんなことは、どうでも良いけど。いちいち説明するのは、面倒だな。
「え……何?
「おい、
琴乃は
「別にイメチェンとじゃなくて。この髪と目の色は地なんだよ。今まで揶揄われるのが嫌で、ウイッグとカラコンで隠していたんだ」
「へー……そうなんだ? 別に遥斗の見た目はどうでも良いけど」
「俺も髪と目の色なんか、気にしないぜ。遥斗は遥斗だからな!」
琴乃と翔太は素直に受け止めてくれる。だけどクラスメイトたちは違って。
俺が陰キャの
「ねえ。遥斗君って、実はイケメンだったんだね!」
「ホント。イケメンだと解っていたら、もっと早く友だちになったのに!」
この手の反応は『
俺は『
だから、こんな風にクラスメイトたちに囲まれても。
「俺がイケメン? そんなことは、どうでも良いよ。みんなも見た目で相手を判断するような奴じゃないよな?」
「……う、うん。ま、まあ、そうだけど……見た目が良い方が、印象が良いのは事実だし……」
「神凪君レベルのイケメンは、そうはいないよ。アイドルとかモデルとか……それくらい、凄いイケメンだから!」
「だから、何んだよ? そういうの、俺は興味ないから」
見た目だけで近づいて来る奴を、俺は信用するつもりはない。
「あの……このクラスに、神凪遥斗君っていますよね?」
このとき。教室の扉が開く。
入って来たのは、ピンクベージュのショートボブ。琥珀色の瞳の女子。
客観的に言えば、大抵の奴が振り向くような美少女。俺はこいつに見覚えがある。
一週間ほど前。ダンジョンで助けたダンジョン配信者だ。
まさか、遥斗と同じ高校の生徒とか……だけど俺は姿を隠していたから。俺の正体は、こいつにバレていない筈だ。
だけど、このタイミングで。俺を探している美少女が登場したから。クラスメイトたちが一層騒めく。
「え? 神凪君とリーナって……どういう関係?」
「嘘だ! 俺のリーナが、こんな奴と……」
こいつ、リーナって名前なんだ。男子と女子で反応が違うけど。大半は否定する雰囲気で。俺とリーナを交互に見る。
「え……どういうことですか? 私は神凪君に用があるだけで……」
リーナは戸惑っている。
「ねえ、遥斗。リーナがどういう人か、全然解っていないでしょう?」
「ああ、その通りよ。あいつは何者なんだ?」
琴乃がニシシという感じで、勝ち誇るように笑う。
「本名は
いや、そういうの。俺はどうでも良いけど。
Re:恋愛魔法学院~乙女ゲーの世界で無双した俺は、現実世界でもダンジョンを攻略する。配信なんて絶対にしないけど。 岡村豊蔵『恋愛魔法学院』3巻制作中! @okamura-toyozou
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