エピローグ




都内でも有数な回遊式日本庭園を有するこのホテルの全面窓ガラスからは幽翠池ゆうすいちとその上に三重の塔が見える。


いまさら・・・何だろう・…・と思いながら・・・・・ビールを飲みながら・・・思い出す・・・

ワタルのことを・・・


壮年期に差し掛かって祖父母の人生を題材にした小説を上梓じょうしすることになった。選考委員の一人が強く推してくれたことで本賞の受賞はできなかったが末席を汚すように紙媒体での出版となった。


「はるかなる青おにさん、こんにちは。」





出版記念パーティーの壇上でのスピーチが終わると昔からの友人たちが遠慮しながらワイングラスを掲げてくれている。



セイジ…、ダイスケ…  そして…サブロー


僕のかけがいのない星の王子さまたち…。彼らは、エネルギー問題に真正面から取り組むベンチャーを立ち上げてから…十数年たつ…

今では、マスコミに取り上げられることもなくなってきたが、今が一番輝いている。




ありがとう、みんな。




次に書くのは、君たちのことだ。タイトルはもう決めてある



「八太郎館物語」



ワタルへの冥福を・・・   祈るためにも・・・・・












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八太郎館物語Ⅲ 愚息の一文 @wasesaga

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