人間には、もともと回復機能が備わっている。

僕は、大学受験で浪人を経験している。


現役生の時に、どうしても行きたい大学があって、そこを受け、見事に落ちた。当然、諦めきれずに、一年間浪人をして、再度受験をしたのである。


そして、落ちた。


見事に落ちた。


遠方の大学だったため、合格発表を実際に見に行った訳ではない。インターネット上で合否を確認した。


HP上に自分の受験番号がないのを確認した時には、「間違いであってくれ」と願ったが、当然、間違いではない。


その後、僕はふて寝をした。今思うと、これが最初のふて寝であった。




しかし、である。


どんなに落ち込んでいても、どんなに心がダメージを負っても、寝続けることは出来ない。


まず疲れる。本来は、疲れを癒すために睡眠を取るのに、本末転倒である。この「寝続けると疲れる」というのは、ニートを経験した人にはきっと、分かって貰えるはずだ。(全国のニート、頷く)


そして、頭が痛くなる。偏頭痛とはちょっと違う。鈍い痛みだ。この作用も、僕が寝続けるのを阻害するのだ。





結果として、起きざるを得ない。望んでいなくても、睡眠は止む。


それでひたすらに後悔したり、成功した他者を妬んだり、やけ食いしたりする。


いずれも生産的な行動とは言えない。しかし、行動していることは確かだ。


行動を続けていると、ずっと無意味なことをし続けるのは難しい。それは拷問に近いので、しばらくすると、意味のある行動に、勝手に変化していく。


例えば、過去を顧みたり、次の選択肢を模索したり、自分の失敗を相対化したり、といった具合に。





生きていると、落ち込むことも多い。


だけど、ずっと怒り続けることが出来ないのと同じように、ずっと落ち込み続けることは出来ない。


だからこそ、落ち込める時には、目一杯、落ち込んだら良いと思う。少なくとも、現代の日本では、その自由が保障されているし、それを許容するほどに社会は豊かだ。


そして、落ち込み続けた果てには、人間の本来持つ「回復力」が作用する。


だから、心配がない、とまでは言えないけど、たいていのことは、自分が思うほどに重要ではない、と思う。

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