命日
ひよっこちゃん
第1話 命日
これは私が中学生時代の修学旅行でのお話しです。
私は修学旅行で長崎に行きました。
現地に着くと、長崎原爆資料館に見学に行くなどし
ながら友人たちと様々なところに行きました。
私は昔から姿ははっきり見えませんが"何か感じ
る"という感覚は持ち合わせていて、「ここなんか嫌
だな」と感じるとだいたい飾ってある絵の裏にお札
が貼ってあるなんてことがよくおきていました。
修学旅行の日も、なんとなく気が重いなという感覚
が常にあって違和感を感じながらその日お世話にな
る民泊のお家まで向かいました。
民泊でお世話になったお家は木製の趣ある作りで、
寝泊まりで用意していただいていたのは障子で仕切
られた和室で、仏壇のある部屋でした。
ご飯をご馳走になったり、お風呂を貸していただい
て夜になり、布団に横になりました。
就寝時はすっと眠れたのですが、突然夜中に私は
"ばっ"と身を起こし、仏壇を凝視するといった奇妙
な行動をとっていたのです。寝ぼけていたこともあ
りますが、いまだになぜそのような行動をとったの
かはわかりません。その後はもう一度布団にくるま
りまた眠りました。
ですが、また夜明けくらいの時間に
"ばっ"と身を起こし、次は障子がある側を凝視して
いて、しばらくすると黒い影のようなものが障子の
向こう側を通り過ぎるのが見えたのです。
しかし、なぜか"怖い"という感覚は無くただただ
ぼうっと黒い影を見つめていました。
その後は何ごともなくまた眠り、起きた後朝ごはん
をいただきました。ご飯を食べ終わり荷造りをしよ
うと仏壇のある和室に向かうと「〜、、、〜、、」
ぼそぼそとした声が聞こえ、そぅっと覗くと、、、
そこには民泊でお世話になったご家族のおばあちゃ
んの姿が。仏壇の前で両手を合わせて何かをお話し
されていて、何を話しているのか耳を傾けると
「今日はおじいちゃんの命日です。」
と言っているのが聞こえました。
もしかしたら、あの時見た黒い影は亡くなったおじ
いちゃんだったのかもしれません。
命日 ひよっこちゃん @hiyokko_piyochan
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