爆発する小包

第18話 迷宮攻略開始

　「ナンセーンス！」

　ロザとクララの口論の大声で目が覚めた。また内ゲバしてるんじゃないだろうなとそっと寝たふりを続けながら、寝返りを打つように声のする方向に向かって細目を開けると目の前にチヒロさんの顔があった。

「おはよう。新入り。」

　行動が見抜かれてる。やはりチヒロさんもあっち側の人なんだなと諦めるように起床。

「二度寝したいですね……。」

「気持ちはとてもよくわかるが、あの女さん二人と行動を共にしてるときは無理だな。」

少年Sは眠いところを起こされたことに不愉快な顔をしながら発炎筒に着火して

「爆弾だ、みんな伏せろ！」

と言い放つと、その場に突っ伏して二度寝を始めた。キツネ目の男もイアンもそれに便乗して突っ伏して二度寝を貪った。

　落ち着いて考えたら少年Sはかなり危ないことしてる。火の始末忘れて寝るどころかわざわざ火をつけて寝てるよ。

―――

　各々、グダグダな起床を迎え、汚れたカネで真っ黒に染まった銭洗弁天の前の泉をあとに、迷宮の奥へと進む。次なる目的は、パルチザンとの合流だ。

　銭洗弁天の泉は川となって土地を潤しているが、さっき汚れた金を資金洗浄したので下流が土壌汚染し始めている。魚は頭から腐ると言われてた東洋の国があったのを思い出す。当時の首相の頭が腐ってたので、公共事業を受ける会社も経営、人事が腐っていき、そしてその下請けも腐っていき、しまいに従業員をいびり倒し踏切で自殺させるという狂気の社会となっていった。上流が少し腐れば下流がどれほど腐るか予測不能だ。しかもそれにはタイムラグが発生する。復路でその影響を受けなければよいのだが。