第17話 迷宮での野営

 野営中は交代で番をするが迷宮入りしたと言っても入口すぐのところなので警戒すべきは追手の方でモンスターの類ではない。いや、悪魔の挽臼新自由主義の走狗という思いっきりたちの悪い立派なモンスターだ。

 今となっては迷宮の中にいたほうがまだ安全なくらいだろう。

 先に寝たのは長老組たるロザ、クララだった。場慣れしているのか気にも留めない感じで


「ふぁーぁ!洗い終わったぁ~、おやすみ〜。」とさも普段通りかのようにそのままゴロンと眠りについた。一人あたり25万枚の割当で洗浄してるのでほぼ全員一徹状態なのだが、イアンもキツネ目の男も少年Sも慣れない体験をぶっ通しでやったので、目を閉じればそこに札束が見えてうなされてすぐハッと目覚めてしまう。チヒロさんは寝ずに佇んでいる。


「チヒロさんは寝ないんですか?」


「同時に寝て朝起きたら全員ブタ箱の中ってことを避けるために一人は起きて交代制で寝るんだ。あと急いては事を子孫繁栄ってことがないようにもな。時間をかけても確実に一歩づつ進んでいかないとな。」


 全員が同時に寝て組織として無防備になってはならないということだ。誰か一人は起きて警戒してないといけない。 チヒロさんが説明してくれた。


「さて、では私も寝ることとしますかな。」


寝袋を用意してチヒロさんも寝ようとしてる。


「僕たちが見張りするんですか?」


「あぁ、頼んだ。」


 気づいたら全員寝てしまうのではないかとも思ったが、目を閉じると札束にうなされてガッと目が覚めるので心配無用だった。チヒロさんたちはここまで見通してこの順番で寝ることにしたようだ。冒険主義者たちの計画には何一つ根拠のないものはないのだと思い知らされた。


―――


うつらうつらし始めて、意識が飛びかけたとき、はじめに寝たロザが起きた。


「お疲れさん。新人たちもそろそろ寝てよい。」


オレたちはそのまま意識を失った。

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