第10話 図書館のぼったくりコピー機
アランとイアンは冒険者コンビではあるが、ふたりで対話してるうちに焦点がどんどんずれていく。そもそも何してたんだっけ?
そうそう、チョコ・シマクラのように児童人身売買の被害にあった囚われ者が野庭にまだいるはずだから継続して調査だったな。
あまりに漠然とした依頼なので、真面目にやろうとすれば全解決ついでにそれも解決してる形となり完全に不当廉売に当たるので絶対ダメ。やはり目的だけの対応をするならば
手がかりを求めて図書館でまずは情報収集。先入観はいけないが人が蒸発したとか、家を出たまま帰ってこないとかの情報を、
過去5年分くらいかき集めることから始めるんだったな。
付箋紙片手にそれっぽいところに付箋貼って必要ならコピーしてまずは日付、場所、人名、施設名という視点で資料をまとめるんだ。そして対象を絞ったらそこを集中的に調べる。
決してこの安ギャラですべての瓦礫を撤去したりしてはならない。仕事には予算があって、仮に自力で出来ることであっても正当な対価なく働いてはならない。それが悪い実績になり、後から同業者が同じレベルを要求されることになり困らせることになるんだ。
他人の仕事を奪ってはならないという信念は、現在無双だが元無能で仕事にあぶれてた経験があるアレンにとっては絶対に犯すことの許されない聖域なのだ。
日付と場所が入っていればそれがなんであっても洗い出す。意味のない情報が骨格に紐づかないからと放置してたらそれが謎を解く鍵であった経験は多い。イアンの嗅覚がそう教えてくれるのである。
ところで、この図書館は公共の施設なので利用自体はタダなのだが、コピーとなると一枚20円も取る。こういう経費込みで安ギャラ内に収めるとなると、必然的に付箋のあるところを重ねて置いたり折りたたんだりして複数まとめて一枚のコピーに取り、少しでもコピー代を節約しなくてはならなくなる。
野庭急報 草加八幡次郎ボロ家@リア充爆発しろ @xka_jiro
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