第9話 ニュースをかき集めろ
それを宇宙からやってきた伝染する病気かもしれないと恐れたイアン。そう恐れさせるに足るアランの言動はすべて根拠のある必然であった事がわかり、ほっと一安心した。
アランが人間などとっくにやめて神になったのは確かにその通りだった。彼の腕力は人工衛星を投擲で軌道に乗せ、欠損した肢体を元より良くしてしまうほどの治癒魔術は神業と言って全く過言ではない。異世界広しといえど投擲して人工衛星を軌道に乗せるなんて他で聞いたことがない。
しかし直前に電波な言葉を虚ろな目で言ったあとにそれを聞かされれば、完全にヤバいクスリで幻覚でも見てるか、何か心の病に罹患したと思うだろう。
さて依頼依頼。瓦礫の山を放置したまま探索するのは容易ではないが、この瓦礫の山はちょっと面倒なものなのだ。金銀財宝がところどころに散乱しているが故に、物理的にはとても邪魔なのだが他人の財産ということになってる。
それゆえ、瓦礫掃除なんかした日には何かが無くなった時に我々のせいにされる。そして防犯もへったくれもないここがまだ誰も手を出してないとはまず考えられない。多分すでに取りやすいものは取られてる。
「なあ、もう少し調べろって言われても何をどうしたらいいんだろうな?」
「とりあえずニュースをかき集めろ。すべてを整理して囚われの者たちに出てこいと言うのが王道だが、明らかにそれは過剰サービスのダンピングになる。まずはニュースから手がかりを絞るんだ。」
ということで、いったん爆心地から10キロほど離れた図書室にて付箋片手に新聞とにらめっこだ。日付から下手人まで、不死を独占したものは誰なのか?愛と夢を独占したのはだれなのか?
明らかに当初の目的を見失った調査に、アランが非常に申し訳無さそうに呟く。
「……それを独占してるつもりはつゆ無いが溺愛されて不死を持たされたのはオレだったかもしれん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます