第8話(カットアップ)野庭再び

 二人はまた野庭に降り立つり瓦礫の山の現場だ。これを片付けろって注文は受けてないからな。


「やすらぎの大特価ジャスミンのチョコチップ入りの喫煙フェスには依存性があります」


アランが虚ろな目をしてぼそぼそとなにやら訳の分からないことを言い出す。


「おい!アランしっかりしろ、お前まであっち側に行ってしまったのか?」


「あっち側とは一体何のことだ?人間ならとっくに辞めた。そしてオレは神になったんだ。」


 アランはさっきまでの虚ろな目が何もなかったかのようにいつもの表情に戻る。しかし言ってることはいつもどおりとはいえ、さっきの光景を見たあとだから余計に狂気を感じた。


「おいおい、勘弁してくれよ。お前さんまで正気失ったらオレはどうすればいいんだ?」


「いや、単なる事実にすぎない。それは偶然のめぐり合わせではあるが、事実は事実だ。必然や道理と事実とは違う。前者は人間の限られた脳で現実を理解する悪あがきだ。

ところで今は、常人の理解を超えるようなことは何もやった記憶はないが、いったいどうしたんだい?」


「いや、さっき虚ろな目をして理解出来ない謎の言葉をつぶやいてたから」


「ん?あれのことか?」


アランが指さした瓦礫の山には複数の看板やらポスターの貼られた板が突き刺さっていた。たしかにアランがつぶやいた言葉がそこにはあった。それぞれ別の看板だが、切れ目なく目に入る順に読んだらたしかにそうなった。


「あれを読んでいたのか?!」


 幽霊の正体見たり枯芒とホッと胸を撫で下ろす。リアルでな。でも別にわざわざ口に出して音読までしなくても良くない?

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