6.裏ボス
夜の王都が炎に包まれ、勇者と魔王の決戦が始まる。
「あー! いい! 久しぶりに僕はワクワクしているよ、ルシフェル!」
ギルド本部屋上にて、銀髪の邪帝が嘲笑う。
「心の底から笑えそうですか? ご主人様。」
「うーん。まだだな、もっとだ! もっと僕に観してくれ! 欲に溺れた魔王と王都を守護する勇者達の物語を!」
「どちらが勝利するとお思いで?」
ルシフェルがグリムへと尋ねる。
「どちらでもいいさ。僕が今求めているのは、このゲームシナリオのみさ。だって、この国が滅ぶ事は僕が此処にいる時点で決定事項だからね。」
「流石、強欲です。本物は違いますね」
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魔王と勇者は向かい合い、大剣とナイフが幾度となく交差する。
空中、家屋の上、道路、至る所で剣とナイフの剣舞が行わていた。
「お前一人で、魔王となったこの私を倒せるとでも?」
「魔王魔王って五月蝿いよ。貴方のその力は所詮借り物か何かだろう。」
「チッ! お前の方がうるせえ!!!」
「まずは右手だ!」
「何? グゥァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!」
勇者の大剣が魔王の腕を肩から切り落とし、魔王の肩から血飛沫が舞う。
「弱いな! お前なんかが魔王とは私は認めん! これで終わりだ! 聖剣シャイニングスラッシュ!!!」
勇者の大剣が輝き、光のエネルギーが辺りを満たしその光を大剣は完全に吸収する。
そしてそのまま勇者は大剣を振り切った。
「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
光と共に、魔王ダース・キリエルは消滅した。
「黒龍は……みんなに任せて大丈夫だな。俺は黒幕の元に向かうとするか」
勇者は魔王を倒し、黒幕の元へと向かう。
黒幕のいる、ギルド本部へと。
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龍が吠え、息を吐く。
その息は王都の建造物を薙ぎ倒し、民の命を奪っていく。
「あの魔石です! 伝承によればあの魔石を壊せば倒せる筈です! 」
「あとはお願い! カロンちゃん!」
「了解アルー!」
僧侶ボルタが神聖魔法で、カロンの一定時間内での自然治癒の力を与え、魔法使いリーリャがカロンへと身体能力向上の魔法をかけた。
「さて、タイマンするアルヨ! 黒龍!」
「ウオァァァァァァァァァァァァ!!!!」
黒龍が吠えたのを合図にカロンは空中へと飛翔する。
勇者パーティが行う身体能力の向上と自然治癒。
その力は簡単に一国を破滅させるほどの力を有している。
実際、その力で魔族の集落を一週間でアキトとカロンは滅ぼしたのだ。
その力が黒龍へと向かう。
「ハァチョォ!!!」
黒龍の魔石にカロンの飛び膝蹴りが直撃した。
魔石にヒビが入り、割れていく。
そのヒビは黒龍の身体もひび割れさせていき、黒龍は咆哮もせず塵となっていった。
カロンの足も複雑に骨折したが、地面に着地するまでに自然治癒により回復する。
「思ったより弱かったアルナ!」
「さて、アキト殿と合流しましょうか。」
「そうですねぇ、あ! あれアキトさんじゃないですか?」
「ギルド本部の方へ向かっていますね。私達も向かいましょう。」
「はい!」
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――ギルド本部、屋上。
そこでは勇者が、二人の男女と相対していた。
「黒龍と魔王もどきだけでは、君達のラスボスは務まらなかったみたいだね。」
「ギルドマスター。やはり貴方が黒幕でしたか。」
「ああ、よく気付いたね。」
「王城で初めてお会いした時から、何かあるなとは思っていました。そこの女性は、同じ銀髪から察して兄弟とかですか?」
「いや、もっと関係の深い存在だよ。」
「というと?」
「僕は邪帝グリム・ネルガウ。この麗しい女性は強欲の悪魔ルシフェルだ。」
「邪帝と悪魔……? 貴方は魔族ですか?」
「全然違うよ。この世界の理から外れた邪神さ。」
勇者は大剣を構える。
「どちらにせよこの国の敵ですね。俺が成敗します。」
「ルシフェルよ、僕の立ち位置はゲーム的にいうとなんだと思う?」
邪帝が悪魔へと尋ねる。
「裏ボス。だと思います。」
「いいね! 裏ボス。楽しそうだ。僕一人でやるよ」
「仰せのままに」
邪帝は腕から闇を発生させ、自分の身長と同じ長さの大鎌を作り出す。
「一つ聞いてもいいでしょうか。」
「何だ?」
「何故この国を滅ぼすのです? 王子まで利用して。」
「全てを壊し、全てを手に入れ、心の底から笑いたい。それだけだよ」
「俺には理解しかねますね」
「追い付いたアルヨ! って銀髪のギルドマスター!?」
「もうその話終わってる感じですよぉ」
「そのようですな」
「みんな!」
勇者パーティがギルド本部屋上へと揃った。
「揃ったな。さあ! 裏ボス戦を始めよう。」
悪魔と契約した皇帝、心の底から笑う為暗躍す @dododo999
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