5.黒龍の卵
「だ、誰だ……」
騎士団長が最後の力を振り絞り悪魔へと語りかける。
「強欲の悪魔ルシフェル。ていうか凄いね君、私の作る剣には猛毒が含まれてるのに、喋れちゃうなんて。」
「悪魔か……そりゃ勝てねぇや。」
騎士団長は大剣を落とし、口から血を吐き息絶えた。
「あ、死んだ。」
「ルシフェル! ピンチになったら来てくれる約束は本当だったんんだな!」
「えーと、ご主人様に言われたから来ただけと言うかなんと言うか。てか約束してないし」
「団長をかえせぇ"ぇ"え"え"え"!!!!!!!!」
魔術師長が水の槍を大量に発生させルシフェルへ襲わせる。
「邪魔、死ね。」
ルシフェルは対抗するように血の槍を発生させ魔術師長へと放った。
「なっ!?」
言葉が発されたかどうか認識ができないスピードで、魔術師長は跡形もなく消し炭になり、血だけが謁見の間の玉座に飛びった。
「あとの二人も殺しますか? ご主人様。」
「ご主人様が来ているのか! ルシフェル!」
「ええ、そこに」
ルシフェルが指差した先にはギルドマスター・グリムが居る。
「え? どういう?」
「ルシフェルよ、あとの2人は王族だ。この2人はこの国の行く末を観る権利がある。だからまだ殺さないで良いよ。それよりもダースの怪我を治してあげて」
「承知いたしました」
ルシフェルがダースの身体を触ると無くなっていた脇腹の肉と皮膚が再生した。
「た、立てた。さ、流石本物の悪魔だ。」
「感謝するならご主人様に」
「えーと、ギルドマスター貴方のことはなんと言えば?」
「邪帝グリム・ネルガウそれが僕の本当の名前だ。」
「ギルドマスター! お主一体何者なんじゃ!」
「邪帝と名乗った通り、悪魔と契約し邪神となった、とある国の皇帝ですよ。」
「ご主人様、これからどうなさいますか。」
「此処に禁書はなそうだしなぁ。そうだ! 確か魔王城で手に入れた、黒龍が封印されてる卵があったよね?」
「ありますね。」
「そいつを王都に解き放とう。そしたらさぞ面白いものが観れそうだ。」
「名案です。」
そんな事を話しながらグリム、ルシフェル、ダースは謁見の間から退出し、城の外へと出向く。
既に王都の日は落ち、夜となっていた。
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「さあ! この世界を崩壊させるラスボスを紹介しよう。黒龍ファフニイル!! そして魔王ダース・キリエルだ! 止めてみろ勇者共よ。」
ギルド本部屋上にて、黒と紫の貴族服とマントを纏った銀髪の男が叫ぶ。
王都、中心部で黒龍の卵が巨大化し孵化。
全長60メートルの巨体が封印から解かれた。
二足歩行のその黒龍は漆黒の鱗に包まれ、二翼の翼で暴風を起こし、額には紫色の大魔石が嵌め込まれている。
「す、凄い。これが最強の魔獣かぁ! 一緒にこの国を崩壊させてやりましょう! いやこの国だけじゃない! この世界もだ!!!! そして私がこの世界を統べる。」
黒龍の復活を横目に、ナイフを所持した魔王ダース・キリエルが叫んだ。
「あとは任せるね、王子様。私はご主人様の元へ戻るよ。」
「ああ! 感謝する。次は勇者達の首とこの国を、この世界を君に!」
「強欲だね。あ、勇者達が来たみたい。じゃ、またね。」
ルシフェルが闇に消え、勇者パーティが王都中央へと到着した。
「王子様……。貴方がこれを」
「どういう事アル! これじゃまるで王子は!」
「ええ、魔王……ですね。我々勇者パーティで奴を止めまじょう」
「そうですねぇ……。怖いですけどぉ私達でやっつけちゃいましょう」
「そう! 私は魔王だ! 魔王になったのだ!」
「魔王になった? お前を魔王にした存在がいるのか。それにあの黒龍、魔王城にあった筈の卵が孵化したものだな。」
「勘がいいな勇者! お喋りは此処までだ。お前達を私は殺す!」
「ああ、俺もお前を倒して黒幕を探し出す。検討はついてるからな。リーリャ、ボルタ、カロルは黒龍を! 俺は魔王を討伐する。」
「わかったアル!」
「了解ですぅ」
「ご武運を」
「魔王討伐の旅で得た力を見してやる。魔王よ!」
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