眼力(めぢから)先輩と俺 後編

「起きたか」

見たことのない男だ。返事しようにも声が出ない。

「起きたな。復温成功」

訳がわからない。周囲の音は、俺にここが集中治療室だと告げる。

「筋弛緩下で挿管して低体温管理してたんだ。リハビリ頑張れよ」

一体全体、何で俺はそんな重症管理をされていたのか。


「覚えてる?」

眼力が俺を刺した。

「あなた感染したから、あなたから採取した検体で治療法出来るまで旦那に生かしといてもらったの」

先輩が俺を助けたのは予定通り。地味だが美人の女に旦那がいるなんて、そんな予定じゃなかったのに。

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知らない予定が入ってる (短編2編) 海堂 岬 @KaidoMisaki

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