第一幕第二場

ファウスト、ヴァーグナー。


ヴァーグナー:失礼します、先生。たった今、郵便局から帰ってきました。今日は手紙は届いていませんが、先生に小包を渡したいという三人の学生が郵便馬車から降りてきました。

ファウスト:よろしい、ヴァーグナー。彼らに言ってくれ、私にはもう受け取る荷物はない。毎日のパンを稼げもしないことのために頭を使うのにはうんざりだ。

ヴァーグナー:失礼ながら先生、あれは博士論文ではありません。翻訳したり添削したりする必要はございませんよ。印刷物です。表紙を見たんですが、『アスタロトの魔術の鍵』という署名でした。

ファウスト:なんだと? お前の口を借りて天使が語っているか、それとも私をからかっているのか?

ヴァーグナー:いえいえ! 保証しますよ、先生。

ファウスト:さあさあ、ヴァーグナー、行きなさい。その学生たちを招待し、ワインと煙草を出して最高のおもてなしをなさい。

ヴァーグナー:承知しました、先生!

ファウスト:(独りで)はっはっは! 運が回ってきたぞ。欲しくてたまらずに実に長いこと追い求めてきた物が手に入るのだ。この本について、まったくありとあらゆる大学に手紙を書いてきたが、一度も見つかったことはなかった。はっはっは! 今や私を畏れよ、そなたら冥府の悪霊ども、私を畏れるのだ、タルタロスの住人どもよ! ファウストはそなたらに最奥の神秘を告げさせ、今に至るまで大地に隠された宝を差し出させるのだ。


ヴァーグナーが戻ってくる。


ヴァーグナー:失礼します、先生、三人の学生が到着しました。こちらは彼らが持ってきた本です。

ファウスト:ありがとう、親愛なるヴァーグナー、本当にありがとう。今、私は幸せだ。私たちの運命はもうすぐ変わり、このみすぼらしい小屋は捨てて宮殿に住むようになるんだ。世間はすぐに、ファウスト博士を違った風に噂せざるを得なくなるぞ。勉学を重ねたことが何の役に立った? 夜を徹して読書したことが? いいかヴァーグナー、君が二つ折り本や四つ折り本から教訓の一滴でも見つけ出せたなら、私はすぐさま悪魔に我が身を委ねるぞ。

ヴァーグナー:先生のご苦労が身を結ぶように願っております。ところで先生にお願いがあるのですが。

ファウスト:話してみなさい、ヴァーグナー、でも手短にな。

ヴァーグナー:先生にお許しをいただきたいのですが、もっと学業に専念できるように、家事の手伝いを一人雇ってもよろしいでしょうか。

ファウスト:ああ、もちろんだ。愛しいヴァーグナー、君がそうしたいなら。だが家に入れるなら口の堅いやつがいいな。それと、私に話があるという人が今日来たら、留守にしていると言ってくれ。

ヴァーグナー:承知しました、先生。しかし例の学生たちともお話しにならないのですか? 彼らは先生がご在宅だと知っていますし、自分たちが出発する前にぜひともお会いしたいそうです。

ファウスト:彼らには会うしかないようだな。


二人とも退場。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カール・ジムロック著『ヨハネス・ファウスト博士 4幕の人形劇』和訳 アーカムのローマ人 @toga-tunica

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ