第18話

「な、なんだこの揺れは……!?」


「ほぅ、始まったようだな……もはやこの国はこれまで……」


「……話せ、老人」


「ふむ、まぁよかろう。このまま儂は死ぬだけだしな。これは大魔法ダイナグランが発動する兆候じゃよ。儂ら暁はこの国の滅亡を望んでいたからな。この魔法を発動させるために各地に構成員を派遣し情報を集めていた。そしてそれらが全て揃ったからな」


「……っ、では僕らを狙おうとしたのも」


「発動の邪魔になりそうな者を排除するため、そして、儂らに釘付けにするためだ」


「っ!」


 その老人の言葉にこの場の全員が事の重大さを思い知った。既に何もかもが手遅れだったのだ。


「ザイン様!」


「分かっている!お前たち、急いでこの事を報告するのだ!他の貴族らもそれぞれ動き始めているやもしれん!そいつらと連携を取るのだ!」


「「「「はっ!」」」」


 後ろにいた兵士らが一斉に行動を開始した。それを見た僕らも動こうとするが、ザイン様に止められてしまった。


「君らはここに行ってもらいたい」


 そう言って渡されたのは一枚の地図だった。


「ここは?」


「暁のアジトと思われるところだ。そこで暁のボスを討伐してもらいたい」


「……二人で、ですか?」


「……行けるだろう?」


「わかりました。お任せください」


「頼んだ。私たちは急ぎこの魔法の出所を調べる。恐らく地下だろうな。そこに戦力を集める」


「なるほど」


「そしてこれは推測なのだが、恐らく暁のボスはそのに戦力が集中すると思って自分のところには来ないと思っているだろう。その油断を叩いてもらいたい」


「はい。分かりました」


 僕とセレスは先ほどの戦闘で疲れた体を無理矢理ポーションで回復させてから走って王都を出た。


 






「セレス、次は?」


「右です」


「分かった。防御シールド


「ギャッ!?」


 道中魔物が襲いかかってきたのでそれらを防ぎつつ、急いで暁のアジトへと向かう。


「はっ!」


「ガアアア!?」


「セレス、このまま真っ直ぐ行けばいいかな?」


「はい!」


 そして森の中を走る続けること2時間。ついに森を抜けることができた。すると目の前には薄暗い洞窟が見えた。


「ここが」


「恐らく、そうだと思われます」


 すると奥から武装した男どもが出てきた。そいつらから強烈な殺気を感じる。


「すぐに片付けるぞ」


「はい」


「お前ら!やっちまえ!」


「「「「「「おおおおおおおおお!!!!!」」」」」」


 二十人ほどの男どもが一斉に襲いかかってくる。だがやることはいつもと変わらない。


防御シールド


「なっ!?」


「セレス!」


「はい!はああああ!」


「「「「ぎゃああ!?」」」」


 セレスが一気に四人の首を刎ねた。そんなセレスに剣を振り抜こうとした男に気づいた僕はすぐさま防御シールドを張って彼女を守る。


「おらあ!」


「おっと危ない」


 そんな僕に攻撃しようとした男の剣を避けて、すれ違い様に首に短剣を突き刺す。


防御シールド


「がっ!?」


「クソガッ!」


 後ろから来た攻撃は防御シールドで防ぐ。と同時に短剣でそれぞれの首に突き刺して絶命させた。


「な、なんなんだよ、こいつら……」


「ぜ、絶対に奥には行かすな!まだ儀式の最中だ!」


「儀式、ねぇ」


「どうやら、当たりをひいたようですね」


「それじゃあ殲滅しようか……暁のアジトを」


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インバース・ブレイク〜最愛の姉を殺されたタンク、盾から矛に持ち替える〜 外狹内広 @Homare0000

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