第5話 草原

ゴブ助の死体を袋につめて、草原へ行く準備を終えた時、作戦会議(アキヨシの思い込み)をしていた三匹はそれぞれ準備を終えていた。


鳥は俺の肩に乗り、狐は俺の横を歩く。ゴブリンアーチャーことゴブ助2は後ろからついてきている。


今までは2匹以上のゴブリンに守られながら進んでいたし、パーティーメンバーが周囲を警戒してくれていたため気楽に歩くことができていた草原が、今では魔の巣窟であるかのような緊張感だ。


肩が震えていたのだろうか?


鳥ことピィが肩が不安定になったことで落ち着けなくなったのか羽ばたいた。


なんとなく不安に駆られたが隣を狐ことコンが歩いてくれているため、なんとか平静を保つことができた。


ピィを見てみるといつの間にか奇妙な飛び方をしている。そして、ゴブ助2が近くにいなくなっていた。


コンは近くにいるのだが俺のことをどこかへ誘導するようなしぐさをしている。俺は別に目的地があって草原へ来たわけではないのでコンの誘導する方向へ進むことにした。


5分程歩いたとき、目の前にはゴブ助2と仕留められた牛のような大型の生き物がいた。


流石にそれほどの大物を持ち帰ることを今のメンバーではできない。しかし、貴重な部位だけを持ち帰るのにも気が引けた。


そこで俺は、どうせゴブリンしか出ないのだからとたかをくくって召喚を行うことにした。


しかも大型の獲物がいるため大型のモンスターが出てきやすいという噂がたった方法でだ。


ちなみにその方法を試したことはあるのだがそれはオカルトで実際に大型のモンスターが出たのはとある街の領主となった召喚士が試したドラゴンの一件だけだという噂もある。


まあ、そんな方法があれば皆試すもので俺も試したことがあった。まあその時も出現したのはゴブリンだったが・・・。


そんな方法を試そうと思ったのはきっとゴブリン以外を召喚できたからであろう。そのため淡い期待を込めて召喚を行う。


すると現れたのは・・・。



今まで斥候役に使っていたゴブリン種だった。ただ異なる点が一点。


普段であれば目の前に食料があるこのような場合には、他には目もくれず食事に向かう。それほどゴブリンは腹を空かせているモンスターである。それにも関わらず、コンを見つめて動かない。


と思っているとコンの方へ近づいていく。短い間ではあるが初めて召喚できたゴブリン以外の生き物に少し愛着がでたのであろう。俺はゴブ助2に召喚したばかりのゴブリンを射殺すように命令した。


しかし、命令を無視したゴブ助2。コンの最後を見たくなかった俺は目を逸らしているが、一向にゴブリンが食事を行う耳障りな音が聞こえてこない。


俺は慎重に目を開けると、そこにはコンの前にひざまずくゴブリンの姿があった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

闇落ち寸前の召喚士はモフモフに癒される。 るいす @ruis

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ