脇役転生

碧美安紗奈

1人目 名無し

 人生は母親の胎内で始まった。

 当たり前だろと思うかもしれないがそうじゃない。中年になるまで生きた前世の記憶をしっかり持ってる、いわゆる転生というやつなのだろう。


 仄かに明るい羊水の中じゃ、そもそもそこがどこかもわからんだろうとツッコまれるかもしれないが、なぜかわかる。


 そこはいわゆる剣と魔法のファンタジー世界、異世界転生というやつだったのだ。


「にしても出発点が早すぎだろ!」


 とツッコんだつもりだが、胎児なので喋れもしなかった。


 戸惑っているうちに重力の方向が激しく傾き、とてつもない衝撃を受けた。


 死産だった。

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