とろとろと眠り、ときどき目覚める「姉の生首」。 姉と暮らす主人公はその姉を慕わしく思っている。 姉もまた、妹である彼女を大切にしているようで…… 平穏な日常に、ときおり差し挟まれる不穏。 不穏と言えば、『生首と暮らす』そのものが不穏なのだが、作者にはそれを日常として読ませる技量がある。 姉の変化、母の記憶、親戚の不幸…… 物語はどこへ向かうのか? まろやかな蜜に包まれた白い骨を齧ってしまったような感触の、怖い物語。
『特異体質』の家系に生まれた主人公。母は『そう』なった。従妹も『そう』なった。そして姉も『そう』なった。 『そう』なることへの畏怖の念を抱く主人公。 淡々とした語り口調が静かにこわさを引き立たせます。