第ⅩⅩⅥ章 これから

目覚めるとどこか分からない天井が見えていた。

「い…生きてる…?どこ…?」

「颯斗!」

目の前にナミが覗き込んできた。

「え…?な…ナミ?どうして…」

「まだ、状況把握をできていないようだな」

「あ!人間さん!目覚めたんだね!」

次々に守護獣達が駆け寄ってきた。

「大丈夫か…?まだ、立てそうに無さそうだな…」

「そうだろうな…あの時は体にある全ての魔力を消費してしまったんだからな…普通なら生きてるのも奇跡に近い程だ…」

僕は守護獣達の優しさに今まで抱えていた涙を全て流した。

「颯斗…」

「ごめん…なさい…。僕、取り返しの…つかない事をしてしまった…。どうやってこの罪を償えばいいの……」

守護獣達は優しく両隣に寄り添い抱きしめてくれた。

「颯斗は、何も悪くない…。罪を償うのであれば、これから善意の行動をしていけばいい…。」

「僕、こんなに優しいみんなに囲まれて……こんなに幸せでいいのかな……」

「もう抱え込まなくていい…。今度は我らが守ってやる」

僕はひたすらに泣いた。

すると騒ぎを聞いたみんなが病院に飛び込んで来た。

「颯斗さん!」

「リリィさんに、ダレンさん、ルミナさん…オルガーさんまで…。見せる顔も……」

僕はできるかぎり頭を下げた。

「颯斗さん。頭下げないで…。私たちは颯斗さんが助かっただけで嬉しいから」

するとレヴィアタンが提案をした。

「なぁ、颯斗。もしその罪を償いたいならひとつ提案がある。親父さんに別れの言葉を言うのはどうだ?」

「僕のお父さんは眠ってるよ…」

「いや、親父さんは今もヴィルトゥエルで颯斗が来るまで彷徨い続けていると思うぞ…?」

僕は驚きを隠せずに言う。

「今すぐ…!そこに…連れてって…!皆…お願い!」

僕はまともに歩けない体でナミやフカ達に支えてもらいながら裏世界に向かった。

僕は何度も倒れながら這いずって王国の扉前に来た。

「颯斗!気持ちは分かるが、我らを頼ってくれ…」

「皆…ありがとう…」

僕はナミ達に支えられ扉を開き玉座前の扉を開けるとそこには外を眺める父がいた。

僕は気力だけで立って父の元へ走ったが父の前で倒れた瞬間に支えられた。

「イグナティオス!」

「お父様…僕は…僕は…!」

「よく戻ってきたな…。お前には辛い思いをさせた…本当に…すまなかった…」

父は膝から崩れ落ちる。

僕はお父さんの温もりに涙が止まらなかった。

「最後に別れの言葉をいいに来たんだ…」

「そうだったのか……。イグナティオス、この先の残りの人生は楽しく生きるんだぞ…?」

「最後にお前にあえて良かったよ…ありがとう。イグナティオス…。後は頼んだぞ…守護獣達…」

すると父は僕を抱きしめたまま薄くなり光と共に天に消えていった。

「お父さん…。大好きだよ…」

すると王国が崩れ始めた。

「颯斗!ここを出るぞ!急げ!」

僕は守護獣達に担がれ王国を出た。

「ちゃんとお別れは言えたか…?」

「言えたよ……。ありがとう…連れてきてくれて…」

そして僕らは家に戻り自室のベッドに寝かされた。

それから数日後僕の体は完全に回復し歩けるようになったが、なぜか、守護獣達は皆家のどこにもいなかった。

外を出ると守護獣が全員そろって僕を待っていた。

「颯斗。もう一度、我らと共にいてくれるか…?」

僕は見せる顔もなく下を俯いて言う。

「こんな…僕でもいいなら…」

「颯斗だからこそ俺はついて行ったんだからな?」

「僕も人間さんが優しくしてくれたからついて行ったんだよ!」

「我らと契約はまだ交わしていないが…契約をしてくれるだろうか…」

僕は泣きながらみんなの元へ走った。

スコルとハティと契約を済ませ僕らは今日も新生活を求め旅に出た。


現在のステータス

名前:宇積 颯斗(ウェネーフィクス・リア・フォン・イグナティオス)

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:なし

魔法適正:全て

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン

リンドヴルム、スコル&ハティ


あとがき

これにて一度…完結となります!

ここまで読んでくださった読者に感謝を…

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異世界で魔獣と新生活トラベル 宏吉 @hirokichi2005

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