第ⅩⅩⅤ章 運命の日

10日目。

ついに来てしまった。

「颯斗を止めるぞ!!」

我らは戦闘態勢になった。

すると突然青空にヒビが入り砕け散り赤黒い空に変わり、大地が枯れて行った。空中から玉座に座る颯斗と、その後ろにアフティエル、マリシス、ヒュポクリシス、ライアーが居た。

颯斗は無言のまま、手で合図を出すとアフティエル達が攻撃を仕掛けてきた。

「御方を止めるのならお前たちには消えてもらう!」

「止めるのを邪魔するなら貴様らには消えてもらう!」

ウロボロスはアフティエルと、レヴィアタンはマリシスと、リンドヴルムはヒュポクリシスと、ハティとスコルはライアーと相手をした。

「ウロボロス!お前は何も守れなかった!そうだろ?颯斗も守れず、王国も、家族も!」

「黙れ!我らは契約者の判断で最後の戦いを終えた!」

「違う違う。契約者に指示されなきゃ何も守れないただの獣だろ?」

「お前に時間をかけていられない!」

ウロボロスはとてつもなく膨大な魔力を消費し風の第5魔法を使いアフティエルを怯ませた。

「邪魔だ!邪魔だ!消えろ!消えろ!」

「力任せに戦うばかりではもう俺には勝てやしない!あの時とは違う!」

「お前は何も分かっちゃいない!どれだけ怒りを抑えていたか!」

「怒りだけで行動すれば何も残らない!例え、家族や国であっても!」

レヴィアタンは水の第5魔法を使いマリシスを弱らせた。

「あなたには消えていただきたい!例え私が消えようと!」

「それは出来ないよ!颯斗さんを止めないと、世界を守れないから!」

「あなたにはこの哀しみが分からない!あの苦しみ…何も無い世界にしないといけないの!」

「だからって世界を破壊しても哀しみだけが残るだけだ!」

リンドヴルムは地の第5魔法を使いヒュポクリシスを怯ませた。

「君たちには色々楽しませてもらったよ!あの絶望を見る時の顔をもっと見せて欲しいなぁ!」

「貴様らが絶望する番だ!」

「僕はもうお前には負けない!」

「何を言っても無駄、無駄。この世界は何も楽しくない…ならば消して新しく作ればいい!」

「そんなことをしても何も楽しいことなどない!」

スコルとハティは時間と空間の第5魔法を使いライアーを追い詰めた。

「醜い。実に醜い。我を楽しませてくれるのではなかったのか。ならば邪魔だ」

颯斗が指を鳴らすとアフティエル達は潰れ辺り一面に血を飛び散らせた。

「………!?何故、仲間を…」

「そろそろ、名乗ろう。我はウェネーフィクス・リア・フォン・イグナティオス。この世界を解体し新しい世界を作り出す者。さぁ守護獣、来い」

守護獣達はイグナティオスに一斉に攻撃を仕掛けたが全て効かなかった。

「ならこれを使うしかない!」

「なにそれ…?」

「これは神々の聖遺物だ!その鍵を壊す唯一の…」

突然聖遺物が塵になり消えた。

「あぁ、壊れちゃった。それで、聖遺物が何?」

「そんなまさか…!唯一の希望が…」

イグナティオスは守護獣の絶望の顔を見て高笑した。

「こんなに笑ったのは久しぶりだな!!ナミ、フカ、リン、それにスコルとハティ…我の忠実なる守護獣達!僕の力になってよ」

「颯斗さん!」

絶望するウロボロス達の後ろから今まで関わった人々が居た。

「まだ私たちは颯斗さんを信じてる!だから俺たちの元に帰ってきてくれ!颯斗さんは我らを助けてくれた!」

イグナティオスは過去の記憶と現在の記憶がよぎり、苦しみ出した。

「守護獣さん!今だよ!」

怯むイグナティオスにウロボロス達は近ずき今までを語った。

「イグナティオス、いや…颯斗。お前には感謝しきれないほどの思い出をくれた」

「うるさい!黙れ!!我はあの日を憎んだ!!人々は助けもくれず、目もくれず!!ただ見て見ぬふりばかり!苦しみを耐え抜いてきた!哀しみも怒りも憎しみも!!楽しみもなかった!親を目の前で殺されて、お前たちは助けにも来なかった!!」

「それは違う。お前の父親の望みがあの結果になってしまったんだ。次は俺たちを信じてくれ、もうお前を傷つけない。守りたい。助けたい…」

「もう…助けなどいらない、守りもいらない!もう聞き飽きたよ…助けてあげる、助けてあげる!守ってあげる、そんなの消えて無くなればいい…!」

イグナティオスは突然計り知れない魔力を放出した。

「あぁぁぁぁ!!!」

イグナティオスの頭からは片角が生え始めた。

「いかん!あれでは魔に体を乗っ取られてしまう!!ウロボロス!止められるのはもうあれしかない!」

「仕方がない……集え守護獣!」

「禁忌には禁忌でしか敵わない。テトラクレイスを止める禁忌はそれ以上のものじゃなければ止められない。そこでだ…お前たち守護獣全員の力を使えば世界の書き換えができる」

ハリスは我らにそれを教えてくれていた。

「颯斗…こちらに戻ってくるんだ…」

イグナティオスは鍵をも使わずテトラクレイスを発動させた。

鍵は空中で1つ、2つとゆっくり鍵が開けられていく。

「苦しかったんだよな…憎かったんだよな…哀しかったんだよな……。次こそはお前を守ってやる…約束、いや、契約でもしてやる!戻ってくるんだ!」

守護獣達は第ⅲ禁忌リライトコスモスを使いイグナティオスのテトラクレイスは魔力が少し足りず不発になった世界へ書き換えた。

するとテトラクレイスで開けていた鍵が突然消え片角は無くなり、イグナティオスは魔力を失い地面に落ちていった。

「これで…いいんだ……お父さん、お母さん……会いに…行くね…」

「リリィ!回復魔法を!」

リリィは急いで颯斗に回復魔法を施した。

颯斗は一命を取り止めたものの意識はすぐには戻らなかった。


現在のステータス

名前:?

年齢:16歳

スキル:メゲトス、コルセラピア

全体レベル:?

魔法適正:?

契約魔獣:ウロボロス、レヴィアタン

リンドヴルム


あとがき

第ⅩⅩⅤ章を最後まで読んでいただきありがとうございました!

ついに次が最終章……

颯斗の運命は……

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